目次
運用日誌|しくみ図鑑

34のしくみ図鑑

物語の中で出会い、手で使ったしくみを、いつでも引けるように並べました。どれも最初から開けます。

HOW図鑑は、上から下へズームして読む

ITILの話は、どの高さの話をしているのかを見失うと、急に分からなくなります。この図鑑は、いちばん外側から順に内側へ降りていく形にしました。

ITIL価値を生むための、組織全体の考え方。見る角度は4つの側面
バリュー・システム機会と需要を価値に変える、5つの部品
管理プラクティス5つの部品のひとつ。仕事のための資源のまとまりで、34個ある
1つのしくみ目的のまわりに、4つの側面(人・情報と技術・外の会社・流れ)
この会社の具体誰が、何を使って、どの順に動くか。物語で見てきたもの

ITIL 5 Foundationの試験では、個々のプラクティスの中身は問われません。押さえるのは「プラクティス=資源のまとまり」と、一般管理/プロダクトとサービスの管理の2つのグループです。この図鑑は、試験のためというより、職場で使うための引き出しです。

MAPズーム地図

しくみの名前を押すと、いちばん下の段に中身が開きます。

1ITIL ── 価値を生むための、組織全体の考え方
見る角度は4つ(4つの側面):組織と人材・情報と技術・パートナーとサプライヤー・バリューストリームとプロセス
2バリュー・システム ── 機会と需要を、価値に変える5つの部品
従うべき原則guiding principles迷ったときの判断の拠り所。7つ
ガバナンスgovernance方向を決め、確かめる。評価・指示・モニタリング
バリューチェーンvalue chain価値を生む8つの活動(ITIL 5。ITIL 4では6つ)
管理プラクティスmanagement practices仕事のための資源のまとまり。34個
継続的改善continual improvement全体を少しずつ良くし続ける
3管理プラクティス ── 34のしくみ(ITIL 4の3つの分類で並べています)

押すと、そのしくみの中身が下に開きます。

一般管理
サービス管理
技術管理

GENERAL一般管理プラクティス(14)

一般的な経営管理から取り入れたしくみ。ITIL 4の分類です。

No.1 アーキテクチャ管理Architecture management組織を作っている要素とそのつながりの全体像を持ち、複雑な変化を構造的に、機敏に進められるようにする

第1部 第10話で、開発チームのリーダーのうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:作ったものが、会社のどこにどうつながって動くのか、見えないまま渡すこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›アーキテクチャ管理
No.1アーキテクチャ管理Architecture management

目的:組織を作っている要素とそのつながりの全体像を持ち、複雑な変化を構造的に、機敏に進められるようにする

要望は、全体図に置いてから比べる

組織と人材organizations and people
  • 全体図の持ち主:インフラ担当(名人)。書き直すときは台帳の持ち主と一緒に
  • 読む人:情シスのリーダーと経営企画。要望を比べるときに、最初に開く
情報と技術information and technology
  • 全体図(基幹システムを真ん中に、つながる仕組みと、受け渡すデータ)
  • つなぎ方の決まり(社員のデータは1か所の名簿から取る、など)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダー:自社の製品が全体図のどこにつながるかを、図の上で説明してもらう
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 今の姿を描く
  2. 要望を置く
  3. 重なりを見る
  4. 目指す姿を描く
  5. 移る順番を決める
使えている目印
  • 新しい仕組みを検討するとき、最初に全体図を開いてつながりを確かめている
  • 同じデータ(社員・取引先)を別々に持つ仕組みの数が、年ごとに減っている
図 アーキテクチャ管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 業務・サービス・データ・技術のつながりを、1枚の全体図に描く
  2. 今の姿と目指す姿を並べ、その間を移る順番を決める
  3. 新しい仕組みを入れる前に、ID・データ・連携が全体と合うかを確かめる
道具
今の姿と目指す姿の全体図(業務・サービス・情報システム・技術・環境の層ごと)/アーキテクチャの原則と標準(使う技術、データの持ち方、つなぎ方の決まり)
押さえる言葉
  • アーキテクチャ architecture:組織を作っている要素と、要素どうしのつながりの構造
  • 環境アーキテクチャ environmental architecture:法律や取引先など、組織を取り巻く外部の環境を描いたもの
最初の一歩
基幹システムを真ん中に置き、つながるシステムと受け渡すデータを1枚に描く。線ごとの持ち主を台帳と突き合わせる
使えている目印
  • 新しいSaaSやアプリを検討するとき、最初に全体図を開いてつながりを確かめている
  • 同じデータ(取引先・社員)を別々に持つシステムの数が、年ごとに減っている
つまずき
全体図を一度描いて満足し、更新の持ち主もきっかけも決めない。3年前の台帳と同じく、少しずつ嘘になる
まぎらわしい隣
ポートフォリオ管理:ポートフォリオ管理は何に投資するかを決める。アーキテクチャ管理は、選んだものをどう組み立て、全体とどうつなぐかを決める

使ってみる

注文アプリを作ったベンダーが「できました、あとはよろしく」と言う。公開は来週

アーキテクチャ管理の目で、公開の前に何をするか

つながりの全体像を見て、慎重に出す所と速く出せる所を分けるのがこの仕事。仕様書との突き合わせはテストの役目。公開後に構成を調べるのは、止まってから知る後追いになる

No.2 リスク管理Risk management組織がリスクを理解し、うまく扱えるようにする。続くためにも、価値を出すためにも欠かせない

第1部 第6話で、総務の担当者のうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:預けた先で事故が起きたとき、確かめていなかった場所が自分の持ち場だったこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›リスク管理
No.2リスク管理Risk management

目的:組織がリスクを理解し、うまく扱えるようにする。続くためにも、価値を出すためにも欠かせない

地図に置いたリスクには、持ち主と次に見る日を書く

組織と人材organizations and people
  • 持ち主:リスクごとに1つの席(アカウントの突き合わせはヘルプデスクの席)
  • 取ってよいリスクの大きさを決める人:管理本部長と総務の担当者
情報と技術information and technology
  • リスク登録簿(持ち主・扱い方・次に見直す日)
  • 起きやすさ×影響の地図
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • アカウント管理のサービスの会社:止まったときの連絡の道と、緊急用の入り方を一緒に決める
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 書き出す
  2. 地図に置く
  3. 扱い方を決める
  4. 持ち主を決める
  5. 見直す日に見る
使えている目印
  • 登録簿のどの行にも持ち主と次に見直す日があり、日付が過ぎたままの行がない
  • 3年の契約のように、受け入れると決めたリスクにも理由が書いてある
図 リスク管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 気がかりを書き出し、起きやすさと影響の2軸に置いて比べる
  2. 上位のリスクを、避ける・減らす・移す・受け入れるのどれで扱うか決める
  3. 取ってよいリスクの大きさを決め、その範囲で新しい試みを通す
道具
リスク登録簿(risk register)/起きやすさ×影響のマトリクス
押さえる言葉
  • リスク risk:損害を生む、または目標の達成を難しくするかもしれない出来事
  • リスク許容度 risk appetite:組織が目標のために取ってよいリスクの大きさ。挑戦しないこともリスクになる
最初の一歩
進めている選定から1件選び、減るリスクと増えるリスクを2列に書く。起きやすさと影響を、総務と一緒に3段階で付ける
使えている目印
  • リスク登録簿の各行に持ち主と次に見直す日があり、日付が過ぎたままの行がない
  • 「リスクがあるから」で止めず、条件を付けて通した新しい試みがある
つまずき
覚書を結べばリスクは消えると考え、預けた先の再委託のような、増える側のリスクを並べない
まぎらわしい隣
サービス継続性管理:継続性管理は災害という特定の大きなリスクに備える。リスク管理は、あらゆるリスクを見つけて比べ、扱い方を決める

使ってみる

現場が気に入った候補Aは安い。ただ、個人情報の覚書は結べないと返してきた

リスク管理として、まず何をするか

リスクはなくすものではなく、理解して扱うもの。すぐ外す案は、補える穴かどうかを確かめていない。規約の写しを取る案は、増えるリスクを比べないまま受け入れている

No.3 継続的改善Continual improvement製品・サービス・プラクティスを少しずつ良くし続け、変わっていく事業のニーズに合わせる

第1部 第9話で、メンバーのうしろのあとでを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:書いた改善が、「いつか」のまま積もっていくこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›継続的改善
No.3継続的改善Continual improvement

目的:製品・サービス・プラクティスを少しずつ良くし続け、変わっていく事業のニーズに合わせる

34分を測り、1枚にして、19分を測り直す

組織と人材organizations and people
  • 改善の持ち主:書いた人。席が変わっても持っていける
  • 見直しの場:月に一度。全員が出て、どの行を動かすか決める
  • 費用のかかる行:経営企画が全社の計画と並べる
情報と技術information and technology
  • 改善の一覧(今の値・目標・持ち主・次の一歩)
  • 継続的改善モデルの7つの問い
  • 訓練の記録(ベースラインと、測り直した値)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 電気設備の業者:非常用の電源を延ばす工事
  • ベンダーのSE:短くした手順の確かめに立ち会う
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. ビジョンを確かめる
  2. 今を測る
  3. 目標を決める
  4. やり方を決める
  5. やってみる
  6. 届いたか測る
  7. 続ける形にする
使えている目印
  • 改善の一覧のどれかが、毎月「試行中」か「完了」に動いている
  • 改善の前と後で同じ数字を測り、効いたかどうかを言える
図 継続的改善の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 気づいた改善案を継続的改善登録簿に書き、価値と手間で順位を付ける
  2. 上位の案を継続的改善モデルで回し、今を測ってから小さく試す
  3. 月1回の見直しを定例に入れ、案の持ち主と進み具合を確かめる
道具
継続的改善登録簿(continual improvement register, CIR)/継続的改善モデル(continual improvement model)の7ステップ
押さえる言葉
  • 継続的改善登録簿 continual improvement register (CIR):改善案を集めて順位を付け、進み具合を追う記録。チームごとに持ってもよい
  • ベースライン baseline:改善の前に今の状態を測った値。あとで目標に届いたかを確かめる基準になる
最初の一歩
たまった改善の一覧から2件だけ選び、今の待ち時間を測ってから2週間試す。結果は月1回の定例で全員に見せる
使えている目印
  • CIRの案のうち、毎月どれかが「試行中」か「完了」に動いている
  • 改善の前と後で同じ指標を測り、効いたかどうかを数字で言える
つまずき
一覧に書かせるだけで誰も動かさない。「書いても何も起きない」と感じた人から、書くのをやめていく
まぎらわしい隣
問題管理:問題管理はインシデントの原因を突き止めて断つ。継続的改善は障害に限らず、サービスや仕事のやり方全体を良くし続ける

使ってみる

改善の一覧は50件を超えた。誰も手を付けず、書く人もいなくなった

継続的改善として、最初に何をするか

7ステップは今を測り、目標を決めて小さく試し、測り直す。一斉に片付ける案は反応を見られず、手も回らない。その場で直す案は、何が効いたか分からず思いつきの改善が乱立する

No.4 情報セキュリティ管理Information security management事業を続けるのに必要な情報を守る

第1部 第11話で、総務の担当者のうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:何を預けてはいけないかが決まっていないまま、便利なものが先に広がること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›情報セキュリティ管理
No.4情報セキュリティ管理Information security management

目的:事業を続けるのに必要な情報を守る

止める前に、後任へ渡す。それがいちばん効く守り

組織と人材organizations and people
  • 止める人:ヘルプデスクの席(退職日のうちに)
  • 知らせる人:人事の担当者(退職と異動を、窓口のカードで)
  • 調べる人:名人と中途のメンバー(使われた形跡をログで)
情報と技術information and technology
  • 退職・異動のお願いカード(後任と、持っていたアカウント)
  • 在籍者の一覧との毎月の突き合わせ表
  • 最終ログインの一覧(ベンダーが毎月出す)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • アカウント管理のサービスの会社:最終ログインの一覧と、不正なログインの知らせ
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 人事が知らせる
  2. 後任に届ける
  3. 退職日に止める
  4. 共有の鍵を変える
  5. 毎月突き合わせる
使えている目印
  • 辞めた人のアカウントが、退職日のうちに止まっている
  • 使ってしまった人や押してしまった人が、自分から窓口に言ってくる
図 情報セキュリティ管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 守る情報を洗い出し、見てよい人と預けてよい先を決める
  2. 予防・検知・是正の3つで対策を並べ、抜けている所を埋める
  3. 怪しいと思った社員がすぐ言える窓口と、責めない手順を用意する
道具
情報セキュリティ方針(information security policy)/外部サービスの使い方の決まり(生成AIに入れてはいけない情報など)/情報セキュリティインシデントの対応手順
押さえる言葉
  • 機密性・完全性・可用性 confidentiality, integrity, availability:見てよい人だけが見られる、改ざんされていない、必要なときに使える、の3つの守る性質
  • 予防・検知・是正 prevention, detection, correction:起こさない、起きたら気づく、起きたあと封じ込めて戻す、の3種類の対策
  • 認証 authentication:相手が本人であることを確かめること
最初の一歩
全社チャットと窓口に「怪しいメールのリンクを押したら、すぐ窓口へ」と出す。連絡が来たらその場でパスワードを変える手順を1枚に書く
使えている目印
  • 不審なメールの連絡が、被害が出る前に窓口へ届いている(押した本人からの申し出もある)
  • 退職者のアカウントが、退職日のうちに止まっている
つまずき
ルールを厳しくしすぎて仕事が回らなくなる。社員は私物のAIや個人のメールという抜け道を探し始める
まぎらわしい隣
可用性管理:セキュリティでいう可用性は、守る性質の1つ。可用性管理は、合意した水準でサービスを使える状態に保つ側の仕事

使ってみる

メンバーが、口座番号の入った依頼メールをそのまま生成AIのチャットに貼っていた

情報セキュリティ管理として、何を置くか

事故は、使い方の決まりがないから起きた。全面禁止は守りすぎで、抜け道を探す人を生む。誓約書は一人を責めるだけで、別の人が同じことをする。決まりと確かめ方を組で置く

No.5 ナレッジ管理Knowledge management組織の情報と知識を、効果的・効率的・便利に使える状態に保ち、良くしていく

第1部 第11話で、経理部長のうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:どの答えが正しいのか見分けがつかないまま、部下がそれを信じて動くこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›ナレッジ管理
No.5ナレッジ管理Knowledge management

目的:組織の情報と知識を、効果的・効率的・便利に使える状態に保ち、良くしていく

リーダーの頭の中を、窓口のAIが読める記事にする

組織と人材organizations and people
  • 記事の持ち主:その件をいちばん知っている人(今回は新しいリーダー)
  • 窓口の当番:AIが答えられなかった質問から、記事の種を拾う
  • 中途のメンバー:利用者向けと担当者向けの、記事の型を決める
情報と技術information and technology
  • ナレッジ記事(症状・自分でできること・窓口に頼むとき・持ち主・確かめた日)
  • 窓口のAIが読む正本の置き場所(古い記事は別の場所へ移す)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 窓口のAIの提供元:読ませる場所と範囲の設定
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 種を拾う
  2. 読む人ごとに書く
  3. 持ち主を決める
  4. 正本に置く
  5. 使われ方を見る
  6. 確かめ直す
使えている目印
  • 窓口の回答のうち、記事を見て答えられた割合が上がっている
  • 「最後に確かめた日」が半年以上前の記事が減っている
図 ナレッジ管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. よく来る質問や障害の答えを、短いカードにして探せる場所に置く
  2. カードに持ち主と最後に確かめた日を付け、古い文書を外す
  3. 詳しい人の頭にあるやり方を聞き出し、誰でも使える形に書く
道具
ナレッジベース(knowledge base)/ナレッジ記事(knowledge article)。持ち主と確かめた日が付いたカード
押さえる言葉
  • 暗黙知 tacit knowledge:経験や勘として人の中にあり、書き出しにくい知識
  • 形式知 explicit knowledge:文書や図に書き表され、人に渡せる知識
最初の一歩
問い合わせの多い上位10件の答えをカードにし、各カードに持ち主と「最後に確かめた日」を書く。古い手引きは別の場所へ移す
使えている目印
  • 窓口の回答のうち、カードを見て答えられた割合が上がっている
  • 「最後に確かめた日」が半年以上前のカードが減っている
つまずき
新旧の手引きを同じフォルダに並べたまま、どれが正本かを決めずに、AIや新人に読ませる
まぎらわしい隣
サービス構成管理:構成管理は、サービスを作る部品とそのつながりの情報を扱う。ナレッジ管理は、仕事のやり方や判断の知識を扱う

使ってみる

窓口のAIが3年前の手引きどおり「会食は一人5,000円まで」と答え、若手が信じた

ナレッジ管理として、何を直すか

AIは読ませたものを疑わない。モデルを替えても、古い手引きを同じ自信で答える。注意書きは確かめる手間を利用者に戻すだけで、正しい答えがどこにあるかは決まらない

No.6 測定および報告Measurement and reporting適切なデータを集め、文脈の中で正しく評価して、判断の不確かさを減らす

第1部 序で、経理部長のうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:報告書は全部緑なのに、締めは毎月止まる。何が起きているのか分からないまま、次の月が来ること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›測定および報告
No.6測定および報告Measurement and reporting

目的:適切なデータを集め、文脈の中で正しく評価して、判断の不確かさを減らす

数字は、受け取る人が決めることから逆に選ぶ

組織と人材organizations and people
  • 報告の受け手:経理部長。毎月、締めの段取りを続けるか変えるかを決める
  • 数字の作り手:中途のメンバー。計器盤の24の数字を毎日見る
  • 報告の書き手:新しいリーダー。1枚目のいちばん上に「今月決めること」を書く
情報と技術information and technology
  • 重要成功要因とKPIの対応表(めざす結果から、測る数字まで)
  • 計器盤(約束に載せないメトリクス24個)
  • 月次の報告1枚(決めること+3つの数字)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 注文アプリの開発チーム:応答時間と二重の注文の件数を、毎日出してもらう
  • 精算のクラウドサービスの会社:毎月の稼働の報告
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 受け手の判断を聞く
  2. 条件を決める
  3. KPIを選ぶ
  4. 数を集める
  5. 文脈を添えて報告
  6. 使われない数を外す
使えている目印
  • 報告を見た経理部長が、その場で「来月も同じ段取りで」か「変える」かを決めている
  • 誰も見ていない数字を年に一度は計器盤から外し、数字の数が増え続けていない
図 測定および報告の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 報告の受け手が、毎月何を判断しているのかを先に聞く
  2. 狙う結果(CSF)を決め、その達成度を測るKPIを選ぶ
  3. 指標が招く副作用を考え、数字に文脈を添えて報告する
道具
CSFとKPIの対応表/月次報告(受け手の判断に合わせた1枚)
押さえる言葉
  • 重要成功要因 critical success factor (CSF):狙った結果を得るために欠かせない前提条件
  • 重要業績評価指標 key performance indicator (KPI):CSFがどこまで達成できたかを測る、重要な指標
  • メトリクス metric:管理や改善のために、見張ったり報告したりする測定値・計算値
最初の一歩
月次報告の受け手に、その報告で毎月何を決めているかを15分聞く。その判断に使える行を1つ足し、誰も使わない行を1つ削る
使えている目印
  • 報告を見た人が、その場で続ける・直す・やめるを決めている
  • 誰も見ていない指標を年に一度は削り、指標の数が増え続けていない
つまずき
測りやすい稼働率だけを並べて全部緑にする。受け手の困りごとは数えておらず、締めは毎月止まる
まぎらわしい隣
サービスレベル管理:サービスレベル管理が測るのは、顧客と合意したサービスの水準。測定および報告は、判断のために組織のあらゆるものを測る

使ってみる

窓口の目標を「平均対応時間」にしたら、3か月で数字が半分になった

測定および報告の目で、次に何を確かめるか

指標は人の行動を変える。平均時間だけを追うと、難しい案件を早く閉じる動きを招く。目標を厳しくするとその副作用が強まり、報告を簡単にすると判断の材料が減る

No.7 組織変更の管理Organizational change management変化の「人の側面」を扱い、組織の変更を円滑に成功させ、効果を長続きさせる

第1部 第7話で、工場長のうしろのぽつんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:判子と一緒に、ラインの割り振りを決める場まで取り上げられること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›組織変更の管理
No.7組織変更の管理Organizational change management

目的:変化の「人の側面」を扱い、組織の変更を円滑に成功させ、効果を長続きさせる

異動を、失うものと得るものから伝え直す

組織と人材organizations and people
  • 推進役:新しいリーダー。人事の発表を待たずに、伝える順を決める
  • 名人本人:最初に聞かれる人。工場への伝え方も一緒に決める
  • 工場のラインの担当:旧いやり方を終える日を一緒に確かめる
情報と技術information and technology
  • 関係者の分析表(誰が何を失い、何を得るか)
  • 伝える計画(誰に、いつ、何を、誰の口から)
  • 連絡先の一覧(3月31日で名人あての直接の連絡を外す)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 人事:正式な発表の日と文面をそろえる。伝える役そのものは、情シスが持つ
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 失う・得るを書く
  2. 本人と話す
  3. チームに伝える
  4. 工場に伝える
  5. 並んで作業する
  6. 旧方式を終える
  7. 逆戻りを見る
使えている目印
  • 4月以降、工場からの連絡が、名人あての電話から窓口へ移っている
  • 異動を知った順番について、どの席からも「聞いてない」が出ない
図 組織変更の管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 変化で誰が何を失い、何を得るかを、関係者ごとに書き出す
  2. 使われない現場に行って理由を見て、失われる場を新しい仕組みに移す
  3. 推進役を置き、旧方式の終わりの日を決めて、定着まで見届ける
道具
関係者の分析表(誰が何を失い、何を得るか)/コミュニケーション計画(誰に、いつ、何を伝えるか)
押さえる言葉
  • 利害関係者 stakeholder:組織や製品・サービスに関心や関わりを持つ人や組織
  • 変化への抵抗 resistance to change:新しいやり方を受け入れない動き。多くは、失うものがあるときに起きる
最初の一歩
新しい仕組みの利用率を拠点ごとに数え、いちばん低い拠点に半日行く。紙が残る作業と、紙が担っていた役目を書き出す
使えている目印
  • 旧方式の受付を終える日までに、拠点ごとの利用率が目標に届いている
  • 旧方式を終えたあと、画面を印刷して判子を押すような逆戻りが出ていない
つまずき
使われない理由を「現場は変化を嫌う」で片付け、判子が担っていたラインの割り振りの場を見落とす
まぎらわしい隣
変更実現:変更実現は、本番環境などへの変更のリスクを評価して許可する。組織変更の管理は、人と組織が変化を受け入れ、続けられるようにする

使ってみる

申請の電子化から1か月。本社の利用率は72%、第二工場だけが6%

組織変更の管理として、まず何をするか

使われない仕組みは、たいてい使う人の大事なものを取り上げている。説明会は使い方が分からない前提の手当てで、理由に届かない。期限だけ先に決めると、失う場を残したまま押し切り、裏で紙が続く

No.8 ポートフォリオ管理Portfolio management限られたお金と人の中で戦略を実行できるよう、取り組みの組み合わせを適切に保つ

第1部 第8話で、情シス課長のうしろのわくもりを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:20件を4つの枠に入れる役目を、断る理由ごと一人で背負うこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:一般管理›ポートフォリオ管理
No.8ポートフォリオ管理Portfolio management

目的:限られたお金と人の中で戦略を実行できるよう、取り組みの組み合わせを適切に保つ

今決める・待つ・部で先に・見送る、に分ける

組織と人材organizations and people
  • 選ぶ:経営会議(評価して、指示する)
  • 比べる材料を作り、見直す:情シスと経営企画。四半期ごとに見直す
情報と技術information and technology
  • 案件の一覧と評価表(ビジョンへの効き・人とお金・リスク・全社の計画への依存)
  • 提供中のサービスと進行中の案件の一覧(続ける・やめるを決める対象)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダー:人月と費用の見積もり。比べる材料の数字を出してもらう
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 一覧に集める
  2. 重なりをまとめる
  3. 物差しで並べる
  4. 経営会議が選ぶ
  5. 四半期で見直す
使えている目印
  • 選ばなかった案件にも、理由と、次に見る日付が付いて届いている
  • 見直しのたびに、やめる・後回しにする案件が実際に出ている
図 ポートフォリオ管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 各部の要望を1つの一覧に集め、重複をまとめて同じ物差しで並べる
  2. 戦略への効き方・必要な人とお金・リスクで比べ、やる案件を絞る
  3. 進行中の案件と提供中のサービスを定期的に見直し、やめるものも決める
道具
プロジェクトのポートフォリオ(案件の一覧と評価表)/製品・サービスのポートフォリオ(提供中と計画中のサービスの一覧)
押さえる言葉
  • ポートフォリオ portfolio:限られたお金と人で取り組む、案件・製品・サービスの組み合わせ
  • プロジェクトのポートフォリオ project portfolio:進めている案件と、これから進める候補の全体。優先順位と配分を決める対象
最初の一歩
各部の要望を共通窓口に集めて番号を付け、戦略への効き方・必要な人数・リスクの3列で1枚にまとめる。選ぶ場は経営会議に置く
使えている目印
  • 選ばなかった案件にも1件ずつ理由が付き、出した部に届いている
  • 四半期ごとの見直しで、やめる・後回しにする案件が実際に出ている
つまずき
声の大きい部や社長に近い部の案件から進め、断る理由を情シス課長が一人で背負う
まぎらわしい隣
プロジェクト管理:ポートフォリオ管理は、どの案件をやるかを決める。プロジェクト管理は、決まった案件を期限と予算の中で成功させる

使ってみる

各部から要望が20件届いた。情シスの人数で来年できるのは4件

ポートフォリオ管理として、どう選ぶか

限られた人とお金を、戦略に効く組み合わせに回すのがこの仕事。終えやすさは戦略の物差しにならず、断る理由も課長一人に残る。全件に少しずつでは力が散り、どれも終わらない

No.9 プロジェクト管理Project managementプロジェクトを成功させる。計画し、任せ、見守り、統制し、関わる人の意欲を保つ

第1部 第10話で、取引先の惣菜店のうしろのあとでを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:店の事情を聞かれないまま、ある日FAXが使えなくなること

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No.9プロジェクト管理Project management

目的:プロジェクトを成功させる。計画し、任せ、見守り、統制し、関わる人の意欲を保つ

段階に区切り、区切りごとに続けるかを決める

組織と人材organizations and people
  • 責任者:第二工場の工場長。区切りで、続けるか・直すか・止めるかを決める
  • 進める人:情シスのリーダー。公開後に動かす側として、最初から計画に入る
情報と技術information and technology
  • プロジェクト計画書(目的・範囲・期限・予算・役割)
  • 段階ごとの報告(進み具合・費用・リスク・続ける理由)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダーの開発チーム:段階ごとの見積もりと、作った分の引き渡し
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 目的を決める
  2. 段階に区切る
  3. 段階を進める
  4. 区切りで判断する
  5. 次の段階へ
使えている目印
  • 区切りごとに、計画を直す・止めるの判断が記録に残っている
  • 公開後に動かす担当が、計画の段階から打ち合わせに入っている
図 プロジェクト管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 目的・範囲・期限・予算・役割を決め、段階に区切って計画する
  2. 段階の区切りごとに、続ける理由が今もあるかを確かめる
  3. 要件が固いか変わりやすいかで、ウォーターフォール型かアジャイル型かを選ぶ
道具
プロジェクト計画書(project plan)/段階ごとの報告(進み具合・予算・リスク・続ける理由)
押さえる言葉
  • プロジェクト project:成果物を届けるために作る、一時的な体制
  • 継続的なビジネス正当性 continued business justification:続ける事業上の理由が今もあるかを、終わりまで確かめ続けること。PRINCE2の原則
最初の一歩
進行中の案件ごとに「続ける理由」を1行で書く。次の段階に入る前に、使う人(取引先など)5件に話を聞き、その1行を見直す
使えている目印
  • 段階の区切りで、計画を直す・止めるの判断が記録に残っている
  • 公開後に動かす担当(情シス)が、計画の段階から打ち合わせに入っている
つまずき
最初の計画どおりに進めることが目的になり、使う人の事情が変わっても計画を直さない
まぎらわしい隣
ポートフォリオ管理:ポートフォリオ管理は、どの案件をやるかを選ぶ。プロジェクト管理は、選ばれた案件を決めた期間と予算で届ける

使ってみる

注文アプリの開発中、取引先の4割にスマホで注文する人がいないと分かった

プロジェクト管理として、どうするか

続ける理由が変わったら、計画を直す。計画どおり広げる案は、計画を守ること自体が目的になり、使えない店を置き去りにする。止める案は、半分の取引先には効く理由が残っているのに捨てている

No.10 関係管理Relationship management組織と関係者のつながりを、戦略と戦術のレベルで築き、育てる

第1部 第5話で、経理の担当者(ユーザー)のうしろのぽつんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:止まっていないというだけで、自分たちの困りごとが数に入らないこと

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No.10関係管理Relationship management

目的:組織と関係者のつながりを、戦略と戦術のレベルで築き、育てる

名人の異動を、工場とのあいだの橋に変える

組織と人材organizations and people
  • 工場との関係の窓口:新しいリーダー(ビジネス関係マネージャーの役)
  • 工場の設備部門:4月から名人。ラインの側の相談相手
  • 第二工場の工場長:月に一度、30分の相手
情報と技術information and technology
  • 関係者の一覧(相手の優先順位・期待・関係の深さ)
  • 月に一度の対話の記録(窓口の記録と並べて残す)
  • ラインが止まった時間(設備と情シスの共通の物差し)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ラインの機械のメーカー:設備部門を通して、止まったときの切り分けに加わる
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 相手を一覧にする
  2. 期待と不満を聞く
  3. 関係の深さを選ぶ
  4. 共通の物差しを置く
  5. 定期に話す
使えている目印
  • 工場からの相談が、ラインを変える前の段階で届く
  • 止まった原因が設備か情シスかを決める前に、一緒に調べ始めている
図 関係管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 関係者を一覧にし、相手の優先順位・期待・不満を定期の対話で聞く
  2. 関係の状態を見守り、取引だけの関係から目標を共有する関係へ進める
  3. 部署どうしの期待がぶつかるときに間に入り、苦情は正式な手順で扱う
道具
関係者の一覧(相手の優先順位・期待・関係の状態)/定期の対話の記録(月1回の面談メモ)
押さえる言葉
  • ビジネス関係マネージャー business relationship manager (BRM):事業部門の相談相手として、ニーズを聞き、ITの提案につなげる役割
  • 関係の3つのタイプ basic / cooperative / collaborative:取引中心の関係、共通の目標で連携する関係、成果とリスクを分かち合う関係。後ろほど深い
最初の一歩
主な部の部長に月1回30分をもらい、来期の重点とシステムへの不満を聞く。聞いたことは窓口の記録と並べて残す
使えている目印
  • 部署からの相談が、障害のあとではなく企画の段階で届いている
  • SLAが緑の月でも、利用者が困りごとを直接話してくれている
つまずき
番号だけの返事で済ませる。困ったときだけ連絡が来る関係のまま、相手の不満が見えなくなる
まぎらわしい隣
サービスレベル管理:サービスレベル管理は、顧客と合意した水準を測り、守れているかを見る。関係管理は、その前提になる信頼関係と相手の優先順位をつかむ

使ってみる

SLAは全部緑。経理の若手から「最近、精算がしんどい」と件名のないメールが来た

関係管理として、次に何をするか

関係管理は、数字の外にある不満と期待をつかむ。記録を閉じる案は番号だけの返事と同じで、困りごとが数に入らない。目標を厳しくする案は、不満のない所を締めるだけで、使いにくさに届かない

No.11 サービス財務管理Service financial managementお金と投資が有効に使われるようにし、サービス管理の戦略と計画を支える

第1部 第4話で、管理本部長のうしろのわくもりを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:何にいくら払っているのか分からないまま、毎年の枠が膨らむこと

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No.11サービス財務管理Service financial management

目的:お金と投資が有効に使われるようにし、サービス管理の戦略と計画を支える

単価より先に、払っている数を数える

組織と人材organizations and people
  • お金を決める人:管理本部長
  • 費用を出す人:新しいリーダー(サービスごとの年額)
  • 数を確かめる人:人事の担当者(在籍者の一覧)
情報と技術information and technology
  • サービスごとの費用表(アカウント管理:数・単価・年額)
  • 来年度の予算と、毎月の実績の対比
  • 請求の明細(アカウントごと)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • アカウント管理のサービスの会社:請求のもとになる数の一覧を毎月出す
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. サービスごとに出す
  2. 数と単価に分ける
  3. 要らない数を外す
  4. 案を並べる
  5. 予算にする
  6. 毎月ずれを見る
使えている目印
  • アカウント管理の年額を、数×単価で1行で言える
  • 値上げのたびに、払っている数を在籍者の数と比べている
図 サービス財務管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. サービスごとに、何にいくらかかっているかを出す
  2. 来年度の費用を見積もって予算にし、実績とのずれを毎月見る
  3. 費用と役目を並べ、続ける・増やす・やめるの判断材料を出す
道具
サービスごとの費用表(costing)/年度予算と実績の対比(budgeting)
押さえる言葉
  • 予算と原価計算 budgeting / costing:お金の出入りを予測し、サービスごとにいくらかかるかを出す
  • 会計 accounting:お金がどう使われたかを明らかにする
  • 課金 charging:利用する部門に費用を請求する。課金は任意だが、費用の把握はどのサービスにも要る
最初の一歩
クラウドの請求明細をサーバーごとに分け、台帳の「何のためか」の欄と並べる。役目が空欄の費用から、持ち主を探す
使えている目印
  • 主なサービスについて、年間の費用を1つの数字で言える
  • 止める・減らすの判断が、費用と役目を並べた表をもとに行われている
つまずき
負荷ゼロで月4万円の「旧_予備」を、何を支えているか確かめずに、費用だけを見て止める
まぎらわしい隣
IT資産管理:IT資産管理は、個々の資産の購入から廃棄までの一生を見る。サービス財務管理は、組織全体のお金の流れと投資を見る

使ってみる

管理本部長から「クラウドの費用が毎年増えている。使っていないものは止めて」

サービス財務管理として、まず何をするか

お金を有効に使うには、費用と役目を並べて判断する。負荷で止める案は、FAX注文のような隠れた役目まで止めてしまう。一律の値下げは、何にいくら払っているか分からないまま削っている

No.12 戦略管理Strategy management目標を決め、そこへ向かう行動と資源の配分を決める。方向・集中・優先順位を与える

第1部 第8話で、要望を出す部の部長のうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:「DX」の中身が分からないまま、要望を出せと言われること

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No.12戦略管理Strategy management

目的:目標を決め、そこへ向かう行動と資源の配分を決める。方向・集中・優先順位を与える

決まった物差しは今使い、まだの物差しに日付を付ける

組織と人材organizations and people
  • 方向を決める:社長と経営会議。中期経営計画の案は経営企画がまとめる
  • 物差しを使う:情シスと各部。要望を出すたびに、どの目標に効くかを書く
情報と技術information and technology
  • 戦略の文書:ビジョン(10年後も同じくらいの人数で届け続ける)と、中期経営計画の骨子
  • 物差しの表:決まっている物差しと、決まる日付
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 取引先のスーパー:売り場の人手不足や惣菜の売れ方の変化を、営業本部を通じて伝えてくる
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 外と内を見る
  2. 目指す姿を決める
  3. 物差しに言い直す
  4. 配分を決める
  5. 結果で見直す
使えている目印
  • 各部の要望に「どの目標に効くか」の欄があり、埋まっている
  • 採るか採らないかの理由が、戦略の言葉で書かれて各部に届いている
図 戦略管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 外部の要因と自社の力を見て、組織が目指す姿を決める
  2. 目指す姿を、案件を選べる物差しと数年の目標に言い直す
  3. 結果と環境の変化を見て、方向と資源の配分を見直す
道具
戦略の文書(ミッション・ビジョン・数年の目標)/PESTLE分析(外部要因の6つの分類)
押さえる言葉
  • ミッション mission:いま何をしていて、なぜ存在するのか
  • ビジョン vision:将来どうなりたいのか
  • パーパス purpose:利用者や関係者のために何をするのか、なぜか
最初の一歩
社長に「DXの目的は何か」を30分聞き、ミッション・ビジョン・パーパスの3行に分けて書く。その3行を本人に確かめてもらう
使えている目印
  • 各部の要望書に「どのビジョンに効くか」の欄があり、埋まっている
  • 案件の採否の理由が、戦略の言葉で説明されている
つまずき
「DXを進めろ」のような掛け声を戦略と取り違え、中身のないまま各部の要望を集め始める
まぎらわしい隣
ポートフォリオ管理:戦略管理は、目指す方向と優先順位を決める。ポートフォリオ管理は、その方向に沿って、どの案件にお金と人を回すかを決める

使ってみる

社長は毎年「DXを進めろ」と言う。各部は何を要望すればいいか分からない

戦略管理として、情シスは何をするか

戦略は方向と優先順位を与える。他社の事例集は他社の方向を借りるだけで、自社の物差しにならない。技術の導入計画は手段が先に立ち、何のために何を優先するかが決まらない

No.13 サプライヤ管理Supplier management外部に頼っている部分の質と切れ目のなさを守り、重要な相手とは協力を深める

第1部 第6話で、候補Aの営業のうしろのわくもりを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:一社ごとの約束を引き受けて、値段の枠が崩れること

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No.13サプライヤ管理Supplier management

目的:外部に頼っている部分の質と切れ目のなさを守り、重要な相手とは協力を深める

値上げの知らせを、実績を一緒に見る場に変える

組織と人材organizations and people
  • 窓口になる人:新しいリーダー(契約と、実績を見る場)
  • 条件を確かめる人:総務の担当者(覚書)、管理本部長(お金)
  • 相手の席:ベンダーの営業と、技術の担当
情報と技術information and technology
  • 外の会社と契約の一覧(付き合いの濃さつき)
  • 契約の目標と実績(止まった時間・止めた不正なログイン・請求の数)
  • やめるときの出口(情報を書き出す手順)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • アカウント管理のサービスの会社:付き合いをいちばん濃くする相手
  • 精算のクラウドサービス、注文アプリの開発チーム:同じ一覧で付き合い方を決める
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 重要度で分ける
  2. 実績を一緒に見る
  3. 理由を聞く
  4. 条件を話す
  5. 更新か終了か決める
使えている目印
  • 更新の3か月前に、実績と条件を一緒に見る場が予定に入っている
  • 値上げの知らせが届いてから、慌てて見積もりを集めることがない
図 サプライヤ管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 選ぶ前に、こちらの必須条件(覚書・チェックシート)を候補に渡す
  2. サプライヤを重要度・リスク・費用で分け、付き合いの濃さを変える
  3. 契約で決めた目標と実績を定期的に一緒に見て、更新か終了かを決める
道具
サプライヤと契約の一覧(重要度の分類つき)/契約書・覚書・チェックシート(選ぶ前に渡す条件)
押さえる言葉
  • 外部委託 outsourcing:自社の仕事の一部を、外部の会社に任せること
  • マルチソーシング multi-sourcing:複数の会社に分けて頼み、1社への依存を減らすやり方
  • サービス統合 service integration:複数のサプライヤのサービスを調整し、ひとつにまとめて届ける役割
最初の一歩
SaaSの候補を探すとき、デモを見る前に個人情報の覚書とチェックシートを送る。応じられる会社だけを、機能と値段で比べる
使えている目印
  • 重要なサプライヤとは、契約の目標に対する実績を定期的に一緒に見ている
  • 選んだあとで約束の条件が合わず候補を外す、という手戻りが起きていない
つまずき
使いやすさと値段に惚れたあとで約束の壁に当たり、気に入っていた現場をがっかりさせる
まぎらわしい隣
関係管理:関係管理は、社内外の利害関係者との信頼関係を育てる。サプライヤ管理は、外部の供給者を選び、契約を結んで実績を確かめる

使ってみる

次は窓口のAIのサービスを選ぶ。前回は、選んだあとで覚書を断られた

サプライヤ管理として、今回はどう進めるか

外の会社との条件は、選ぶ前にそろえる。デモを先に見せる案は前回と同じ順番で、惚れたあとに断られる。規約で代える案は、社内ルールと委託先を監督する責任を、選ぶ側が勝手に外している

No.14 要員およびタレント管理Workforce and talent management事業目標を支えるために、適切なスキルと知識を持つ人を、適切な役割に置く

第1部 第2話で、インフラ担当(名人)のうしろのぽつんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:自分にしかできないことがなくなって、席の意味まで消えること

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No.14要員およびタレント管理Workforce and talent management

目的:事業目標を支えるために、適切なスキルと知識を持つ人を、適切な役割に置く

名人の穴を、業務の形に分けて2人目を置く

組織と人材organizations and people
  • 表の持ち主:新しいリーダー。月に一度の見直しで更新する
  • 2人目:一人しか回せない業務ごとに1人。中継サーバーは中途のメンバー
  • 名人:3月まで、2人目と並んで作業する役。育てた仕事を評価に入れる
情報と技術information and technology
  • スキルの表(7人×主な業務20個。◎一人で回せる/○補助ならできる)
  • 要員計画(4月以降の人数と、足りない力の埋め方)
  • カードと台帳(書ける分は、ここに移す)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ネットワークの保守会社:回線の設定は、保守契約で外の力も借りる
  • 人事:評価の基準と、4月以降の採用の相談
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 業務を書き出す
  2. 回せる人に印
  3. 一人だけを探す
  4. 埋め方を決める
  5. 並んで作業する
  6. 表を直す
使えている目印
  • どの主な業務にも、回せる人が2人以上いる
  • 評価の面談で、カードを書いた仕事と人を育てた仕事が、速く直した仕事と並んで話される
図 要員およびタレント管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 主な業務ごとに回せる人を書き出し、一人しか回せない業務を見つける
  2. 足りない力を、研修・実務・採用・外部のどれで埋めるか決める
  3. 評価の基準に、知識を書き残す仕事と人を育てる仕事を入れる
道具
スキルマップ(業務×人の表)/要員計画(workforce planning)
押さえる言葉
  • 要員計画 workforce planning:事業の計画に合わせ、いつ、どんなスキルの人が何人要るかを見積もる
  • 後継者計画 succession planning:今の担い手が抜けても仕事が続くよう、次の担い手を前もって育てる
  • 組織の速さ organizational velocity:組織が動く速さ・効果・効率。人の配置と育成が直接効く
最初の一歩
チーム7人×主な業務20個の表を作り、「一人で回せる」「補助ならできる」を付ける。○が一人だけの業務から2人目を決める
使えている目印
  • どの主な業務にも回せる人が2人以上いて、担当が休んでも止まらない
  • 評価の面談で、カードを書いた仕事や原因を突き止めた仕事が、速く直した仕事と並んで扱われている
つまずき
名人にカードを書かせるだけで、役目と評価を置き直さない。本人は書くほど席がなくなる気がして、手が止まる
まぎらわしい隣
組織変更の管理:組織変更の管理は、変化を受け入れてもらう。要員およびタレント管理は、必要な力を持つ人をそろえ、育て、役割に置く

使ってみる

窓口のAIが問い合わせの4割近くに答え始め、ヘルプデスク担当が自分の席を不安がる

要員およびタレント管理として、どうするか

必要な力を持つ人を、合う役割に置くのがこの仕事。人員を減らす案は人数だけを見て、カードを育てる力を手放す。様子を見る案は不安を先送りするだけで、新しい役割もスキルも決まらない

SERVICEサービス管理プラクティス(17)

サービスを管理するために作られたしくみ。ITIL 4の分類です。

No.15 可用性管理Availability management顧客と利用者のニーズを満たす、合意した水準の可用性をサービスに保たせる

第1部 序で、経理の担当者のうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:打ち込んだ明細が、保存の途中で消えること。消えても、どの報告にも載らないこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›可用性管理
No.15可用性管理Availability management

目的:顧客と利用者のニーズを満たす、合意した水準の可用性をサービスに保たせる

どの43分なら止まってよいかまで、約束に書く

組織と人材organizations and people
  • 困る時間を決める人:経理部長(締めの3日)、受注の課長(出荷の締め切り前)
  • 止まったときに判断する人:新しいリーダー。名人がいない日は中途のメンバー
情報と技術information and technology
  • 止まった記録(いつ・何分・どの業務が止まったか)
  • 困る時間の表(業務の暦に重ねる)
  • 約束の表の「止まった時間」の行
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 精算のクラウドサービスの会社:月間99.9%の契約と、毎月の稼働の報告
  • 注文アプリの開発チーム:更新の作業を、締め切り前の時間に入れない
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 困る時間を聞く
  2. 目標を合意する
  3. 止まった記録を取る
  4. 戻る時間を比べる
  5. 止めない/速く戻す
使えている目印
  • 月次の報告に、稼働率と並んで「締めの3日と締め切り前に止まった時間」が載っている
  • 締め切り前に止まったらFAXに切り替えて締め切りを延ばす手順を、営業所が知っている
図 可用性管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 止まると困る時間帯を業務ごとに聞き、可用性の目標を合意する
  2. 止まった回数と時刻、戻るまでの分数を記録して比べる
  3. 止まらない設計と速く戻す設計を、費用と比べて選ぶ
道具
停止の記録(いつ・何分・どの業務が止まったか)/サービスレベルの目標(SLA の可用性の項目)
押さえる言葉
  • 可用性 availability:必要なときに、合意した機能を果たせる能力
  • 平均故障間隔 MTBF(mean time between failures):どれくらいの間隔で止まるか
  • 平均サービス復旧時間 MTRS(mean time to restore service):止まったとき、どれくらいで戻るか
最初の一歩
精算システムの過去3か月の停止を日時と分数で並べ、締めの3営業日に重なった分に印を付ける
使えている目印
  • 月次報告に、稼働率と並んで「締めの3営業日に止まった分数」が載っている
  • 止まるたびに戻るまでの分数が記録され、前の月と比べられる
つまずき
年間99.9%という平均を見て安心する。止まった45分が締めの3日に集まっていても、平均には出てこない
まぎらわしい隣
サービス継続性管理:可用性管理は日常の範囲で使える状態を保つ。継続性管理は、ふだんの手順では手に負えない災害に備える

使ってみる

精算システムの稼働率は年99.9%で目標どおり。ただ、止まった時間の大半は締めの3営業日だった

来期の可用性の目標をどう置き直すか

可用性は「いつ使えるべきか」まで含めて合意する。年の平均を上げても締めに止まれば意味がなく、費用だけ増える。再起動を覚えるのは戻す速さの工夫で、目標の置き直しにはならない

No.16 事業分析Business analysis事業を分析してニーズを定義し、課題を解く方法を提案する。変える理由と解決策を形にする

第1部 第8話で、選ばれなかった部の部長のうしろのぽつんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:自分の部の要望が、中身を聞かれないまま落とされること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›事業分析
No.16事業分析Business analysis

目的:事業を分析してニーズを定義し、課題を解く方法を提案する。変える理由と解決策を形にする

製品名の前に、困りごとと狙う結果を書く

組織と人材organizations and people
  • 聞き手:情シスの担当者。要望を出した部長と、実際に作業する担当者の両方に聞く
  • 確かめ役:要望を出した部長。言い直した1枚を読んで、合っているかを返す
情報と技術information and technology
  • 要望シート(困りごと・今のやり方・狙う結果)
  • 要件の一覧(できるべきこと=機能要件/どれくらい=非機能要件)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダー:要件が固まってから、解決策の候補と見積もりを出してもらう
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 要望を受ける
  2. 作業する人に聞く
  3. 狙う結果を決める
  4. 要件を分けて書く
  5. 解決策を並べる
使えている目印
  • 要望の記録で、製品名より先に困りごとと狙う結果が書いてある
  • 解決策が2つ以上並び、今ある仕組みの延長も候補に入っている
図 事業分析の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 要望の言葉の裏にある、業務の困りごとと狙う結果を聞き出す
  2. できるべきことと、性能・安全などの水準を分けて書く
  3. 解決策を複数並べ、変える理由と効果を説明する
道具
要望シート(困りごと・今のやり方・狙う結果)/要件の一覧(utility requirements と warranty requirements)
押さえる言葉
  • 機能要件 utility requirements:そのサービスが何をできるべきか
  • 非機能要件 warranty requirements:どれくらいの性能・可用性・安全性が要るか
最初の一歩
次に「システムを入れたい」と言われたら、製品名の前に「どの作業で、誰が、どれくらい困っているか」を聞いて記録する
使えている目印
  • 要望の記録で、製品名より先に困りごとと狙う結果が書かれている
  • 選ばなかった要望にも、理由が1件ずつ付いて返っている
つまずき
要望に書かれた製品名をそのまま要件にする。申請が遅い原因が承認者の不在でも、システムを入れ替えてしまう
まぎらわしい隣
サービスデザイン:事業分析は何が必要かを明らかにする。サービスデザインは、それを使われる形にどう組み立てるかを決める

使ってみる

営業部長から「営業全員にタブレットを配りたい」と要望が来た。予算会議まで2週間

情シスは最初に何をするか

要望は解決策の形で届く。困りごとと狙う結果を先に決めれば、タブレット以外の手とも比べられる。機種比べは解決策を決めた後の仕事。そのまま出すと、経営会議に比べる材料が届かない

No.17 キャパシティとパフォーマンス管理Capacity and performance management今と将来の需要を費用に見合う形で満たし、期待どおりの性能を出させる

第1部 第2話で、管理本部長のうしろのわくもりを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:足りないから増やす、を毎年言われて、予算の枠があふれること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›キャパシティとパフォーマンス管理
No.17キャパシティとパフォーマンス管理Capacity and performance management

目的:今と将来の需要を費用に見合う形で満たし、期待どおりの性能を出させる

増やす前に、山の形を見る

組織と人材organizations and people
  • 需要の暦を持つ人:受注の課長(年末・連休前・新しい取引先)
  • 性能を見張る人:中途のメンバー。名人が戻ったら二人で
  • 増やすお金を決める人:管理本部長
情報と技術information and technology
  • 需要の暦(月末・年末・連休前の注文の量)
  • 性能の数字(締め切り前の応答時間と使用率)
  • 容量の計画(いつ・どこが・どれだけ足りなくなるか)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 注文アプリの開発チーム:前日に予約できる「いつもの注文」と、二度押しを防ぐ直し
  • クラウドの会社:年末の2週間だけ容量を足す
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 山を暦に書く
  2. 山の性能を測る
  3. 詰まる部品を探す
  4. 増やす/ならす
  5. 次の山の前に測る
使えている目印
  • 年末の前に「今年の山はいつ、どれくらい」の見込みが出ている
  • 遅いという電話より先に、使用率の上がり方を見て手を打った記録がある
図 キャパシティとパフォーマンス管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 締めや4月など業務の暦と処理量を重ね、需要の山を見積もる
  2. 応答時間と使用率を測り、上限に近い部品を見つける
  3. 増やすか、処理をずらして山をならすかを、費用で比べる
道具
需要の暦(締め・4月・繁忙期と、その処理量)/性能の測定値(応答時間・使用率)/容量の計画(いつ・どこが・どれだけ足りなくなるか)
押さえる言葉
  • パフォーマンス(性能) performance:一定時間に処理できる量や、応答の速さ
  • キャパシティ(容量) capacity:サービスや部品が扱える量の上限
  • 需要 demand:利用者がサービスを使う量と、その時期
最初の一歩
精算システムの過去1年の応答時間を、締め・4月・連休前の日付に重ねて並べ、遅くなる日を3つ挙げる
使えている目印
  • 月の初めに「今月の山はいつ、どれくらい」の見込みが出ている
  • 遅いという苦情が来る前に、使用率の上昇を見て手を打った記録がある
つまずき
足りないと言われるたびにサーバーを大きくする。処理の時刻をずらせば済む山にも、毎年お金を払い続ける
まぎらわしい隣
可用性管理:可用性管理は「使えるか」を見る。キャパシティ管理は「十分な量と速さがあるか」を見る。負荷で固まるならこちら

使ってみる

締めの日、本社のバッチと8営業所の一斉入力が重なり、精算システムが固まる。増強の見積もりは年300万円

管理本部長に何を出すか

容量は増やす以外に、需要の山をならしても足りる。両方を数字で並べれば、管理本部長が選べる。見積もりだけでは比べる材料がない。入力を控えさせると営業所の仕事が止まり、山の量も分からないまま

No.18 変更実現Change enablementリスクを評価し、変更を許可し、予定を管理して、成功する変更の数を最大にする

第1部 第3話で、工場長のうしろのはつみみを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:自分の知らないところで、ラインにつながるものが変わること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›変更実現
No.18変更実現Change enablement

目的:リスクを評価し、変更を許可し、予定を管理して、成功する変更の数を最大にする

重さは、止まるものの大きさで決める

組織と人材organizations and people
  • 変更許可者:通常の変更は情シス課長。ラインに響くものは工場長も加わる
  • 標準変更の手順書の持ち主:作るときに一度だけ評価と許可を受ける
  • 重い1枚は、課長・工場長が、ベンダーの説明を聞いて集まって決める
情報と技術information and technology
  • 変更カード(何を・なぜ・影響先・戻し方・許可者)
  • 変更スケジュール(窓口の共有カレンダー。工場の出荷予定と並べて見る)
  • 標準変更の一覧(事前に許可した手順と、使ってよい条件)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダーのSE:作業の中身と戻し方をカードに書き、説明する
  • 設備メーカー:機械の搬入と接続の予定を、変更スケジュールに合わせる
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 窓口で受ける
  2. 種類を決める
  3. 影響先を書く
  4. 許可する
  5. 予定に載せる
  6. 実施して確かめる
使えている目印
  • 本番に触る作業がすべて変更スケジュールに載り、工場長が出荷予定と見比べている
  • 変更が原因の停止の件数と、依頼から許可までの日数を、毎月見ている
図 変更実現の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 変更ごとにリスクを評価し、種類に合った変更許可者が許可する
  2. 許可した変更を変更スケジュールに載せ、影響先に先に知らせる
  3. 低リスクの決まった作業を標準変更にして、事前承認で通す
道具
変更スケジュール(change schedule)/変更モデル(change model):変更の種類ごとの評価と許可の決まり/変更カード(何を・なぜ・影響先・戻し方)
押さえる言葉
  • 変更許可者 change authority:変更を許可する人や会議体。変更の種類ごとに決める
  • 標準変更 standard change:低リスクで手順が文書化された、事前承認済みの変更
  • 緊急の変更 emergency change:すぐ実施が要る変更。評価と許可は省かず、文書化などを後回しにできる
最初の一歩
今月予定の本番作業を全部書き出し、「止まるもの」「戻し方」の2列を足した表を窓口に置いて、工場長にも見えるようにする
使えている目印
  • 本番に触る作業がすべて変更スケジュールに載り、日時と影響先が見える
  • 変更が原因の障害の件数と、依頼から許可までの日数を毎月見ている
つまずき
失敗を恐れて、3分の定型作業にも同じカードと承認を求める。手続きが重すぎると、個人チャットの抜け道が戻ってくる
まぎらわしい隣
展開管理:変更実現は「やってよいか」を決める。展開管理は、許可された物を本番へ移す。許可と作業は別の仕事

使ってみる

メールボックスの容量を増やす作業は月20件で、毎回3分。そのたびに変更カードと課長の許可を通している

この作業の手続きをどう変えるか

低リスクで手順の決まった作業は標準変更にできる。手順を作るときに一度評価と許可を通せば、毎回の許可は要らない。カードをやめると記録が消え、月1回の許可では作業が最大1か月待たされる

No.19 インシデント管理Incident management止まった・遅くなったサービスを、できるだけ早く元に戻し、悪影響を小さくする

第1部 第1話で、第二工場の事務のうしろのぽつんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:誰から来たかで順番が決まって、工場の件が後回しにされること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›インシデント管理
No.19インシデント管理Incident management

目的:止まった・遅くなったサービスを、できるだけ早く元に戻し、悪影響を小さくする

届いた順でなく、止まった業務の大きさで並べる

組織と人材organizations and people
  • 窓口の当番:受けた時点で優先度を付ける
  • インフラ担当:優先度「高」は、最初から一緒に見る
  • 新しいリーダー:重い件が出たら、ほかの件の担当を組み替える
情報と技術information and technology
  • 優先度の基準表(業務への影響×急ぎ具合)。受付画面のいちばん上に
  • インシデントの記録:回避策と、次に連絡する時刻
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • メールの仕組みの提供元:転送の設定と、障害の連絡先
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 受ける
  2. 優先度を付ける
  3. 回避策で戻す
  4. 利用者に知らせる
  5. 直して確かめる
  6. 記録して閉じる
使えている目印
  • 優先度「高」の件に、受けてから15分以内に担当が付いている
  • 受付順や肩書きより、優先度の順に手が動いている
図 インシデント管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. すべての連絡を記録し、業務への影響と急ぎ具合で優先度を付ける
  2. 原因が分からなくても、回避策でまず業務を戻す
  3. 利用者に、今の状況と次に連絡する時刻をこまめに伝える
道具
インシデントの記録(窓口の番号付きチケット)/優先度の基準表(業務への影響 × 急ぎ具合)/重大インシデント(major incident)の手順
押さえる言葉
  • インシデント incident:サービスの計画外の中断、または品質の低下
  • 重大インシデント major incident:影響が大きく、別の手順で扱うインシデント
  • スウォーミング swarming:最初から複数の専門家で取り組み、最適な担当が分かったら絞るやり方
最初の一歩
優先度を「止まっている業務の大きさ」と「待っている人や物」の2つで3段階に決め、窓口の受付画面のいちばん上に貼る
使えている目印
  • 受付順や依頼者の肩書きではなく、優先度の順に着手している
  • 優先度ごとに、目標の時間内に戻せた割合が毎月出ている
つまずき
原因探しに夢中になり、利用者を待たせる。トラックが待っているなら、まず代わりの手で出荷を戻すのが先
まぎらわしい隣
問題管理:インシデント管理は起きている中断を早く戻す。問題管理はその原因を突き止め、次の中断を減らす

使ってみる

同時に2件。役員から「会議室のモニターが映らない」、第二工場から「出荷ラベルが印刷できない」

手の空いている担当は1人。どう動くか

優先度は業務への影響と急ぎ具合で決める。出荷の停止は時間とともに損が増え、会議は部屋を移れば続く。肩書き順や受付順では大きな件が後回しになり、原因調査を先にすると戻すのが遅れる

No.20 IT資産管理IT asset managementIT資産の一生(調達から廃棄まで)を管理し、価値・コスト・リスク・契約の遵守を支える

第1部 第4話で、北関東営業所の事務のうしろのぽつんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:うちが毎日頼っているものが、うちに聞かれないまま止められること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›IT資産管理
No.20IT資産管理IT asset management

目的:IT資産の一生(調達から廃棄まで)を管理し、価値・コスト・リスク・契約の遵守を支える

期限の3か月前に、次の一手を決める

組織と人材organizations and people
  • 資産台帳の持ち主:情シス(夏のあいだは当番が預かる)
  • 契約の窓口:総務の担当者(リース会社とのやりとり)
  • 費用の判断:管理本部(延長や買い取りの費用)
情報と技術information and technology
  • IT資産台帳(持ち主・リースの期限・費用・状態・次の一手を決める日)
  • リースの契約書と、データを消した証明
  • 期限の3か月前に窓口へ出る知らせ
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • リース会社:延長・返却・データ消去の証明
  • PCの販売店:新しいPCの納期と初期設定
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 調達する
  2. 台帳に載せる
  3. 使う
  4. 渡し直す
  5. 引退を決める
  6. 消して返す
使えている目印
  • 持ち主の書かれていない資産の数が、月ごとに減っている
  • リースの期限の3か月前に、返す・延ばす・買い取るが決まっている
図 IT資産管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. PC・ライセンス・クラウド契約を、調達から廃棄まで台帳に記録する
  2. 契約の数と実際の利用を突き合わせ、余りと不足を見つける
  3. 再利用・更新・廃棄を、費用とリスクと契約の条件で決める
道具
IT資産台帳(持ち主・費用・契約期限・状態)/棚卸しの記録/ライセンスの契約数と利用数の対照表
押さえる言葉
  • IT資産 IT asset:IT製品・サービスの提供に役立ちうる、財務的な価値のある構成要素
  • ライフサイクル lifecycle:資産の調達から、利用・再利用・引退・廃棄までの一生
最初の一歩
クラウドとSaaSの請求を1か月分並べ、1行ずつ「持ち主」「何のため」「いつまで」を埋める。埋まらない行に印を付ける
使えている目印
  • 持ち主の書かれていない資産の数が、月ごとに減っている
  • 退職や異動の翌月には、余ったライセンスが解約か再割り当てされている
つまずき
費用を減らすことだけを目的に、誰が使っているか確かめずに解約する。止めた翌日、知らない業務が止まる
まぎらわしい隣
サービス構成管理:IT資産管理は、お金の価値と一生を見る。構成管理は、その部品がどのサービスとつながるかを見る。同じサーバーでも見る角度が違う

使ってみる

「旧_予備」という名のクラウドのサーバーが月4万円。負荷はほぼゼロで、台帳の持ち主欄は空

管理本部長は止めたいと言う。次に何をするか

止めるかどうかは、費用と一緒に、誰が何に使っているかで決める。負荷だけで止めると、この会社では営業所のFAX注文が届かなくなった。払い続けるのは、判断を先送りしてお金を出し続けること

No.21 モニタリングおよびイベント管理Monitoring and event managementサービスと部品を観察し、意味のある状態の変化をイベントとして記録し、対応を決める

第1部 第2話で、ヘルプデスク担当のうしろのはつみみを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:止まったことを、いつも経理からの電話で最後に知ること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›モニタリングおよびイベント管理
No.21モニタリングおよびイベント管理Monitoring and event management

目的:サービスと部品を観察し、意味のある状態の変化をイベントとして記録し、対応を決める

200の見張りのうち、人に届けるのは14個にした

組織と人材organizations and people
  • 中途のメンバー:見張る項目としきい値の持ち主
  • 窓口の当番:警告を受けたら、見張りの1行のとおりに動く
  • インフラ担当:例外が出たら、インシデントとして最初から入る
情報と技術information and technology
  • 見張る項目としきい値の表(「なぜ見張るか」の1行つき)
  • 知らせの行き先の決まり(情報は記録、警告は窓口、例外はインシデント)
  • 窓口の知らせのチャンネル
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 回線とWi-Fiの保守会社:機器の知らせの意味と、交換の窓口
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 見張る物を決める
  2. しきい値を決める
  3. 知らせを分ける
  4. 行き先へ届ける
  5. 動く
  6. 月に一度見直す
使えている目印
  • 障害の最初の知らせが、利用者の電話より見張りの警告から来ることが増えている
  • 届いた知らせのうち、誰も動かなかったものの割合が下がっている
図 モニタリングおよびイベント管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 何を見張り、どの値から警告にするかを先に決める
  2. イベントを情報・警告・例外に分け、それぞれの行き先を決める
  3. 警告は事前の手当てに、例外はインシデントの対応につなぐ
道具
監視ツールのしきい値の表/イベントの分類と行き先の決まり/状態を一目で見るダッシュボード
押さえる言葉
  • イベント event:サービスや構成品目の管理にとって、意味のある状態の変化
  • 警告 warning:悪影響が出る前に手を打てる段階のイベント
  • 例外 exception:基準違反が起きていて、対応が要るイベント
最初の一歩
精算システムの同時接続数に、上限の8割で窓口へ警告が届く設定を入れ、届いたら誰が何をするかを1行で決める
使えている目印
  • 障害の最初の知らせが、利用者の電話より監視の警告から来ることが増えている
  • 届いた通知のうち、誰も動かなかったものの割合が下がっている
つまずき
全部を見張り、全部を通知する。1日数百件の通知に埋もれて、本当に危ない警告を誰も読まなくなる
まぎらわしい隣
インシデント管理:イベントは状態の変化の知らせで、すべてが障害ではない。実際に中断や品質の低下が起きたら、インシデント管理に渡す

使ってみる

監視を入れたら、精算サーバーから1日300件の通知が窓口に届く。ほとんど誰も読んでいない

どう直すか

すべてのイベントに人が動く必要はない。情報は記録に残し、手を打てる警告と、基準違反の例外だけを人に届ける。全部止めると電話で気づく日に戻り、全部読むと人が通知に埋もれる

No.22 問題管理Problem managementインシデントの本当の原因を見つけ、回避策と既知のエラーを管理して、起きやすさと影響を減らす

第1部 第2話で、経理部長のうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:なぜ止まったのかが空いたまま、次の締めが来ること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›問題管理
No.22問題管理Problem management

目的:インシデントの本当の原因を見つけ、回避策と既知のエラーを管理して、起きやすさと影響を減らす

32件の「つながらない」を、1つの問題にした

組織と人材organizations and people
  • 問題の持ち主:インフラ担当。調べる時間を正式な仕事にする
  • 窓口の当番:同じ件が2回来たら、問題として起票する
  • 新しいリーダー:調べる時間を、ほかの依頼から守る
情報と技術information and technology
  • 問題の記録(いつから・何回・影響・分かったこと)
  • 既知のエラーのカード(原因・回避策・恒久対策の予定)
  • インシデントの傾向の表(件名・機種・場所)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • PCのメーカー:部品のソフトの修正版と、既知の不具合の情報
  • リース会社:同じ機種を配った先の一覧
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 傾向を見つける
  2. 問題に登録
  3. 回避策を出す
  4. 原因を調べる
  5. 既知のエラーに
  6. 恒久対策を変更へ
  7. 効いたか確かめる
使えている目印
  • 回避策を出したあとも、恒久対策が済むまで問題が開いたまま追われている
  • 同じ原因のインシデントの件数が、月ごとに減っている
図 問題管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 繰り返すインシデントの傾向から、問題を見つけて登録する
  2. 原因を分析し、既知のエラーと回避策を記録して周知する
  3. 恒久対策を考え、実施は変更実現に回す。回避策も見直す
道具
問題の記録(いつから・何回・影響・調べた結果)/既知のエラーのカード(原因・回避策・恒久対策の予定)/インシデントの傾向の表(件名・時刻・回数)
押さえる言葉
  • 問題 problem:1つ以上のインシデントの原因、または原因になりうるもの
  • 既知のエラー known error:分析は済んだが、まだ解決していない問題
  • 回避策 workaround:完全な解決がないあいだ、影響を減らす、またはなくす方法
最初の一歩
過去1年のインシデントを件名で並べ替え、3回以上繰り返したものを問題として登録する。まず1件だけ原因を調べる
使えている目印
  • 回避策を出した後も、恒久対策が済むまで問題が開いたまま追われている
  • 同じ原因によるインシデントの件数が、四半期ごとに減っている
つまずき
再起動で戻ったら、問題まで閉じてしまう。原因が残るかぎり、同じ固まり方は次の締めにも来る
まぎらわしい隣
インシデント管理:インシデント管理は目の前の中断を戻す。問題管理はその原因を断って、次の中断を減らす。回避策は両方で使う

使ってみる

精算システムが締めのたびに固まり、再起動で戻した回数は2年で62回。原因はまだ分からない

最初の一手は

繰り返すインシデントは問題の入口。原因の分析と回避策を並行して進める。再起動の手順だけでは戻すのが速くなるだけで原因が残る。原因が分からないまま入れ替えると、外れたときにお金だけが出ていく

No.23 リリース管理Release management新しい、または変更されたサービスや機能を、使える状態にする

第1部 第10話で、営業所の担当者のうしろのはつみみを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:取引先に聞かれて初めて、自分の会社が何を出したのかを知ること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›リリース管理
No.23リリース管理Release management

目的:新しい、または変更されたサービスや機能を、使える状態にする

置く日と、使い始める日は別の日

組織と人材organizations and people
  • リリースの持ち主:新ラインでは出荷担当。情シスは段取りを支える
  • 先に知らせる相手:ライン長、出荷場、取引先の物流センター
  • 問い合わせの受け手:窓口(カードを先に書き足しておく)
情報と技術information and technology
  • リリースの1枚(中身・相手・使い始める日・知らせ方)
  • 手書きの予備様式(新しい品番の欄つき)
  • 窓口のカード「ラベルが出ないとき」(新ラインの分)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 取引先の物流センター:見本のラベルを先に受け取り、読めるか試す
  • ベンダーのSE:使い始める日まで、新しい品番を選べないようにしておく
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 中身と相手を決める
  2. 手引きをそろえる
  3. 先に知らせる
  4. 使えるようにする
  5. 振り返る
使えている目印
  • 初出荷の週に「聞いていない」という連絡が、窓口にほとんど来ない
  • 置く日と使い始める日が、別々に計画されている
図 リリース管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 何を、誰に、いつ使えるようにするかを計画する
  2. 手引き・研修・問い合わせ先を、リリースと一緒にそろえる
  3. 使える相手を段階的に広げ、終わったら振り返る
道具
リリース計画(中身・相手・日程・知らせ方)/利用者向けの手引きとお知らせ/feature flags(機能ごとに公開の相手を絞るしくみ)
押さえる言葉
  • リリース release:使えるようにした、サービスや構成品目のバージョン(またはその集まり)
  • フィーチャーフラグ feature flags:本番に置いた機能を、相手を絞って公開するしくみ
  • ブルー・グリーン blue/green:2つの環境を用意し、切り替えて公開するやり方
最初の一歩
次の画面の変更で、使う部署・使える日・問い合わせ先を書いた1枚を、公開の3日前に窓口と各部署へ送る
使えている目印
  • 公開した週に「聞いていない」という問い合わせがほとんど来ない
  • 本番に置く日と、使えるようにする日が、別々に計画されている
つまずき
本番に置いた日を、そのまま公開日にする。営業所も取引先も、知らないうちに変わった画面に出会う
まぎらわしい隣
展開管理:展開管理は本番へ物を置く。リリース管理はそれを使えるようにする。feature flags を使えば、置く日と使える日を分けられる

使ってみる

注文アプリは本番に置いてある。取引先は200社で半分はFAX注文。営業所はまだ説明を受けていない

公開をどう進めるか

リリースは、使えるようにする相手と日を選ぶ仕事。先に問い合わせを受ける側をそろえ、使える相手から広げる。一斉に出すと営業所が答えられず、全員を待つと、使える取引先の分の価値まで遅れる

No.24 サービス・カタログ管理Service catalogue managementサービスとオファリングについての、一貫した唯一の情報源を作り、必要な人が見られるようにする

第1部 第1話で、人事の担当のうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:何を、誰に、どう頼めば通るのか分からないまま、新人の初日が来ること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›サービス・カタログ管理
No.24サービス・カタログ管理Service catalogue management

目的:サービスとオファリングについての、一貫した唯一の情報源を作り、必要な人が見られるようにする

頼めることの一覧を、組織が変わった週に書き直す

組織と人材organizations and people
  • 一覧の持ち主:新しいリーダー。月に一度、全部の行を見直す
  • 各行の持ち主:そのお願いを受け持つ情シスのメンバー
  • 人事と総務:組織変更が決まったら、実施の前に窓口へ知らせる
情報と技術information and technology
  • 頼めることの一覧(名前・頼める人・要る情報・日数・持ち主・更新日)
  • 新入社員向けの見せ方:最初の1か月に頼むことの多い5行
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 社内ポータルの提供元:一覧を載せる場所
  • リース会社:PCの機種と届くまでの日数の約束
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 頼めることを洗い出す
  2. 1行に書く
  3. 見せ方を分ける
  4. 全社に出す
  5. 変わったら直す
使えている目印
  • 「何を頼めるのか」「誰に出せば通るのか」という問い合わせが減っている
  • 各部署の案内が同じ一覧を指していて、更新日が新しい
図 サービス・カタログ管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 今提供しているサービスと頼めることを、1か所に一覧にする
  2. 利用者・部長・情シスの立場ごとに、見せる項目を分ける
  3. 中身が変わるたびに一覧を直し、古い説明を外す
道具
サービスカタログ(service catalogue)/要求カタログ(request catalogue)/社内ポータルの案内ページ
押さえる言葉
  • サービスカタログ service catalogue:今提供しているサービスとオファリングの、一貫した唯一の情報源
  • 要求カタログ request catalogue:カタログのうち、利用者が頼めるものだけをまとめた見せ方
  • ビュー(見せ方) user views / customer views:同じカタログを、利用者には頼めるもの、顧客には水準と費用と実績、と相手ごとに見せる切り口
最初の一歩
窓口に来た依頼の上位5種を、「名前・頼める人・頼むときに要る情報・届くまでの日数」の4列で1枚にし、全社に出す
使えている目印
  • 「情シスに何を頼めるのか」という問い合わせが減っている
  • 各部署の案内が同じ一覧を指していて、一覧の更新日が新しい
つまずき
部署ごとに別の一覧を作る。見せ方は分けても元を1つにしないと、説明が少しずつ食い違っていく
まぎらわしい隣
サービス要求管理:カタログ管理は、頼めるものを見せる一覧を整える。サービス要求管理は、頼まれたものを決まった手順でさばく

使ってみる

人事・総務・営業所で、PC手配の頼み方の説明がそれぞれ違う。3つとも少しずつ古い

どう直すか

カタログは唯一の情報源にする。見せ方は部署ごとに変えてよいが、元は1つ。各部署に直させるとまた3通りに分かれる。説明をやめると、何を頼めるか分からない状態に戻る

No.25 サービス構成管理Service configuration managementサービスを作る部品(構成品目)と、そのつながりについて、正確な情報を必要なときに使えるようにする

第1部 第4話で、インフラ担当のうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:止めたら、ほかに何が止まるのか、どこにも書いていないこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›サービス構成管理
No.25サービス構成管理Service configuration management

目的:サービスを作る部品(構成品目)と、そのつながりについて、正確な情報を必要なときに使えるようにする

使い道を決めた分だけ、つながりを書く

組織と人材organizations and people
  • 台帳の行ごとの持ち主(サーバーやサービスごとに1人。夏は当番が預かる)
  • つながりの欄を直す人:変更カードを閉じる担当
  • 実物と照らす人:持ち主と当番で、設定を開いて確かめる
情報と技術information and technology
  • 台帳(構成品目・載っているもの・つながり・持ち主・最終更新日)
  • サービスごとのつながりの図(ホワイトボードの写真から写す)
  • 変更カード(閉じるときに、台帳の行も直す)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • クラウドの提供者:サービスの構成が変わるときに知らせてくる
  • 注文アプリのベンダー:接続先を変えたら、台帳の行を一緒に直す
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 使い道を決める
  2. つながりを書く
  3. 実物と照らす
  4. 変更のたびに直す
  5. 使って答える
使えている目印
  • 「これを止めたら何が止まるか」に、台帳を見て数分で答えられる
  • 変更が終わるたびに台帳が直され、最終更新日が変更の日付とそろっている
図 サービス構成管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. サービスを支える構成品目と、そのつながりを記録する
  2. 変更のたびに記録を直す流れと、項目ごとの持ち主を決める
  3. 使い道が決まった情報だけを集め、実物と照らして確かめる
道具
構成管理システム(CMS)/CMDB(構成情報を置くデータベース)/サービスごとのつながりの図
押さえる言葉
  • 構成品目 configuration item(CI):ITサービスの提供のために管理が必要な構成要素
  • 構成管理システム configuration management system(CMS):構成管理を支える道具・データ・情報の一式
  • 構成管理データベース CMDB(configuration management database):構成情報を置くデータベース。1つにまとめても、複数に分けてもよい
最初の一歩
精算システム1つを選び、載っているサーバー、同居するシステム、つながる外部サービスを1枚の図にして、持ち主を書く
使えている目印
  • 「これを止めたら何が止まるか」に、台帳を見て数分で答えられる
  • 変更が終わるたびに台帳が直され、最終更新日が変更の日付とそろっている
つまずき
全部の部品を最初から登録しようとして、更新が追いつかない。古い台帳は誰にも信じられなくなる
まぎらわしい隣
IT資産管理:構成管理は、部品とそのつながりを見る。IT資産管理は、お金の価値と一生を見る

使ってみる

精算システムの設定を変えたら、同じサーバーに載る工場のラベル印刷が止まった。同居は誰も知らなかった

台帳に何を足すか

構成管理が答えるのは「止めたら何が止まるか」。載っているものと業務のつながり、直す担当があれば、変更の前に影響先が分かる。購入日や費用は資産管理の情報。設定値の丸写しは更新が追いつかず、つながりも見えない

No.26 サービス継続性管理Service continuity management災害が起きても、サービスの可用性と性能を十分な水準に保ち、組織の回復力を高める

第1部 第12話で、工場長のうしろのあとでを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:止まっている最中に、戻す順番を決めなければならないこと

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No.26サービス継続性管理Service continuity management

目的:災害が起きても、サービスの可用性と性能を十分な水準に保ち、組織の回復力を高める

訓練で、去年の1枚が古くなっていたと分かった

組織と人材organizations and people
  • 訓練の指揮:新しいリーダー。名人は時間を測るだけ
  • 止める・戻す:当番の2人と、中継サーバーの2人目
  • 工場長:戻す順と、待てる時間を一緒に決める
情報と技術information and technology
  • 事業影響分析(止まると何時間で出荷に響くか)
  • 復旧の計画(止める順・戻す順の1枚。順番の横に理由の欄)
  • 訓練の記録(かかった時間と、つまずいた手順)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 電気設備の業者:非常用の電源の点検と、延ばす工事
  • ベンダーのSE:中継サーバーの設定の写しを、変更のたびに預かる
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 影響を書き出す
  2. 目標時間を決める
  3. 戻す順を決める
  4. 1枚にする
  5. 訓練で試す
  6. ずれを直す
使えている目印
  • 業務ごとに目標復旧時間と目標復旧時点が決まり、写しの取り方がそれに合っている
  • サーバー室に何かを足した月に、計画の1枚と訓練の予定も直している
図 サービス継続性管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 業務が止まったときの影響を分析し、戻す順番を決める
  2. 業務ごとにRTOとRPOを決め、それに合う備えを選ぶ
  3. 計画を定期的に試し、ずれたところを直す
道具
事業影響分析(business impact analysis:BIA)/復旧の計画(どれから止め、どれから戻すかの1枚)/訓練の記録(かかった時間と、つまずいた手順)
押さえる言葉
  • 災害 disaster:大きな被害を出す突然の出来事。ふだんのインシデント対応では手に負えない規模
  • 目標復旧時間 RTO(recovery time objective):中断のあと、事業に深刻な影響が出るまでに許される最大の時間
  • 目標復旧時点 RPO(recovery point objective):再開したとき、データをどの時点まで戻せればよいか
最初の一歩
工場1つのサーバー室に載るシステムを並べ、「止まると何時間で出荷に響くか」を工場長と一緒に書き入れる
使えている目印
  • 業務ごとにRTOとRPOが決まり、バックアップの間隔がRPOに合っている
  • 年1回以上、停電などを想定して手順を試し、かかった時間を記録している
つまずき
計画を作って棚にしまう。サーバーの入れ替えや同居が増えても直さず、非常の日に順番が合わない
まぎらわしい隣
可用性管理:可用性管理は日常の範囲で使える状態を保つ。継続性管理は、ふだんの手順では手に負えない災害のときに動く

使ってみる

工場のサーバー室に、生産・ラベル印刷・勤怠・ファイル共有が載る。停電のときの手順はまだない

ふだんのうちに何を決めるか

何から戻すかは、止まったときの業務への影響で決まる。ふだんに決めておけば、非常の日に考えずに済む。全部を同じ水準にそろえると費用が膨らみ、その場で決めてもらうと、いちばん判断しにくいときに判断を迫る

No.27 サービスデザインService design目的に適い、使用に適い、実際に提供できる製品とサービスを、人や接点まで含めて設計する

第1部 第7話で、工場の事務の担当者のうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:40人にPC2台の現場で、本社向けの手引きをどう使えばいいのか分からないまま回すこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›サービスデザイン
No.27サービスデザインService design

目的:目的に適い、使用に適い、実際に提供できる製品とサービスを、人や接点まで含めて設計する

仕様の前に、使う人の一日を見る

組織と人材organizations and people
  • 使う人:班長・工場長・工場の事務の担当者。設計の場に最初から入る
  • 運用する人:情シス。問い合わせを受けて直す道も、一緒に設計する
情報と技術information and technology
  • 設計の前提の一覧(使う人・場所・端末の数・代理)
  • 紙の試作と、盤の写真
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダーの開発チーム:紙の試作を見て、作れる形かどうかを早めに返す
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 現場を見る
  2. 一日を並べる
  3. 前提を書く
  4. 紙で試す
  5. 直してから作る
使えている目印
  • 始めたあと、紙や盤との二重の運用が少しずつ減っていく
  • 設計の場に、使う人と運用する人が最初から入っている
図 サービスデザインの解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 使う人の現場を観察し、手が止まる場面を見つける
  2. 試作を使う人に試してもらい、迷った箇所を直してから作る
  3. 人・手順・道具・接点・運用まで含めて、流れを設計する
道具
試作(紙の画面など)/サービス・ジャーニー(service journey)の図/設計の前提の一覧(使う人・場所・端末の数・代理)
押さえる言葉
  • 目的への適合 fit for purpose:求められている働きをする。有用性(utility)
  • 使用への適合 fit for use:約束どおりに、使える状態で届く。保証(warranty)
  • デザイン思考 design thinking:観察と共感から始め、試作と検証を繰り返す人間中心のやり方
最初の一歩
次に入れる申請画面を紙に描き、工場の事務の担当者にふだんの手順で使ってもらって、手が止まった箇所を3つ書き出す
使えている目印
  • 新しいしくみを始めたあと、紙や旧方式との二重の運用が減っていく
  • 設計の場に、使う人と運用する人が最初から入っている
つまずき
本社の机で、本社の使い方だけを想定して作る。PCが2台の工場では、印刷と判子の回り道が生まれる
まぎらわしい隣
事業分析:事業分析は、何が必要かを明らかにする。サービスデザインは、それを使われる形に組み立てる

使ってみる

電子申請を入れたら、工場では画面を印刷してラインで判子をもらい、工場長のIDで押していた

どう直すか

回り道は、設計が現場に合っていない合図。使う人と一緒に、端末の数や承認の場まで含めて作り直す。ルールを押し付けても回り道は残り、紙に戻すと二重の運用が続く

No.28 サービスデスクService deskインシデントとサービス要求を受け付ける。すべての利用者にとっての単一の窓口

第1部 第1話で、総務の担当者のうしろのはつみみを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:頼んだ件が、知らないところで止まっていること

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No.28サービスデスクService desk

目的:インシデントとサービス要求を受け付ける。すべての利用者にとっての単一の窓口

4月の140件を、ひとつの入口で番号に変える

組織と人材organizations and people
  • 窓口の当番:毎日2人が交代で受け、分けて、担当へ渡す
  • 情シスの全員:個人あてに届いたら、その場で窓口に転記して番号を返す
  • 新しいリーダー:受けた件を自分で抱えず、担当を割り当てる
情報と技術information and technology
  • 窓口の記録(番号・担当・状態・届き方)
  • 窓口のAI:カードにある答えを案内し、カードにない質問は人へ回す
  • 窓口の案内(入口・番号の見方・受け付ける範囲)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • チャットと窓口のツールの提供元:入口の土台と、止まったときの連絡先
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 受ける
  2. 番号を付ける
  3. 分ける
  4. 担当へ渡す
  5. 進み具合を返す
  6. 閉じる
使えている目印
  • 担当が休んでも、どの依頼がどこまで進んだかを窓口で答えられる
  • 個人あてに届いた依頼が、受けたその場で窓口に転記されている
図 サービスデスクの解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 電話・チャット・ポータルの入口を、1つの窓口にまとめる
  2. 受けた連絡を記録し、インシデントと依頼に振り分けて渡す
  3. 利用者の本当の困りごとを聞き取り、進み具合を返す
道具
窓口のチケット管理ツール(番号・担当・状態)/ナレッジベース(よくある答えと回避策)/窓口の案内(入口・受付時間・番号の見方)
押さえる言葉
  • 単一窓口 single point of contact:すべての利用者にとっての入口を1つにすること
  • バーチャル・サービスデスク virtual service desk:離れた場所の担当を技術でつなぎ、1つの窓口として動かす形
  • チャネル channel:電話・メール・Webポータル・チャット・対面など、連絡の手段
最初の一歩
個人チャットで依頼を受けたら、その場で窓口に転記して番号を返す、と7人で決める。1週間試して件数を数える
使えている目印
  • 個人あての依頼の割合が月ごとに減り、窓口経由が増えている
  • 担当が休んでも、依頼の進み具合を窓口で答えられる
つまずき
窓口を作っても、顔なじみは個人チャットで頼み続ける。断ると角が立つので黙って受け、記録が残らない
まぎらわしい隣
インシデント管理:サービスデスクは連絡を受ける入口。インシデント管理は中断を戻す進め方。デスクは依頼の入口も兼ねる

使ってみる

共通窓口を作って1か月。営業所長からは、なじみのメンバーに個人チャットで依頼が届き続けている

受けたメンバーはどうするか

窓口は入口を1つにして記録を残すしくみ。代わりに登録すれば、相手を待たせずに記録が窓口へ集まる。断ると関係が冷え、記録を後回しにすると、担当が休んだ日にまた止まる

No.29 サービスレベル管理Service level management事業に基づく明確な目標を決め、それに対して提供の状況を評価し、管理する

第1部 第5話で、経理部長(顧客)のうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:約束は守られているのに、部下が疲れている理由を言葉にできないこと

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No.29サービスレベル管理Service level management

目的:事業に基づく明確な目標を決め、それに対して提供の状況を評価し、管理する

約束は、去年の痛みの形をしている。だから読み直す

組織と人材organizations and people
  • 約束の相手:経理部長(精算と締め)、営業本部の受注の課長(注文アプリ)
  • 判定する人:行ごとに相手の席が判定する。情シスは自分で緑を付けない
  • 読み直しの進め役:新しいリーダー。数字の下ごしらえは中途のメンバー
情報と技術information and technology
  • 約束の表(何を・どの数字で・誰が判定・読み直す場)
  • 月次の報告1枚(いちばん上に、今月決めること)
  • 締めのあとの問い(体験の行を測る)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • 精算のクラウドサービスの会社:契約の稼働率と、締めの3日に計画停止を入れない取り決め
  • 注文アプリの開発チーム:遅さと二重の注文の直し
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 相手の困りごとを聞く
  2. 行を作る
  3. 判定する人を決める
  4. 毎月測って報告
  5. 半年ごとに読み直す
  6. 行を入れ替える
使えている目印
  • 約束の数字と、経理部長の「今月は楽だった」が、同じ向きに動いている
  • 読み直しの記録に、外した行と足した行が残っている
図 サービスレベル管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 顧客と話し、業務の成果を表す目標を一緒に決める
  2. 運用の数字と顧客の声を集め、目標と比べて報告する
  3. SLAを顧客と定期的に読み直し、指標を入れ替える
道具
SLA(service level agreement)/月次のサービスレベル報告/締めのあとの短いアンケート(体験の目標を測る)
押さえる言葉
  • サービスレベル service level:期待される、または達成された品質を表す1つ以上の指標
  • ウォーターメロンSLA watermelon SLA effect:個々の指標は緑なのに、顧客の満足は赤い状態
  • 体験レベル合意 experience level agreement(XLA):稼働率などの数値だけでなく、利用者の体験そのものを目標にする合意
最初の一歩
経理部長と30分話して、締めが無事に終わったと判断する条件を3つ聞き、今の月次報告の指標と並べ、足りない1行を足す
使えている目印
  • SLAの指標と顧客の満足度が、同じ向きに動いている
  • 年に1回以上、顧客とSLAを読み直し、指標を入れ替えた記録がある
つまずき
測りやすい運用の数字だけをSLAに並べる。全部緑でも、利用者は締めのたびに疲れている
まぎらわしい隣
関係管理:サービスレベル管理は、合意した水準を測って管理する。関係管理は、その前提になる信頼関係を育てる

使ってみる

SLAの指標は12か月すべて達成。なのに経理部長から、件名のないメールで「部下が疲れている」と届いた

最初に何をするか

指標が緑で顧客が赤いのはウォーターメロン効果。数字が顧客の成果を表していない。顧客と話して指標を作り直す。報告を増やしても不満は消えず、目標を厳しくしても測っているものは変わらない

No.30 サービス要求管理Service request managementあらかじめ決まった「いつものお願い」を、効果的で使いやすい形でさばく

第1部 第1話で、隣の席のメンバーのうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:「何に基づいて」と聞かれたとき、自分の判断しか答えがないこと

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:サービス管理›サービス要求管理
No.30サービス要求管理Service request management

目的:あらかじめ決まった「いつものお願い」を、効果的で使いやすい形でさばく

30人分を、誰が受け持っても同じ手順と日数で届ける

組織と人材organizations and people
  • 人事の担当:入社の2週間前に、名簿を窓口に出す
  • 窓口の当番:カードどおりに受け、手順を割り振る
  • 配属先の課長:部署の共有フォルダと業務システムの権限を承認する
情報と技術information and technology
  • お願いカード「新しく入る人の受け入れ」(受付条件・手順・承認者・日数)
  • 30人分の一覧表:PC・アカウント・権限の済みの印
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • リース会社:PCを届け、初めの設定を済ませる
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 名簿を受ける
  2. 承認を確かめる
  3. アカウントを作る
  4. 権限を付ける
  5. 初日に確かめる
  6. 記録して閉じる
使えている目印
  • 配属の初日に、アカウントのない人が0人
  • カードに書いた日数(名簿を受けてから10営業日)に収まっている
図 サービス要求管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. よく来るお願いを選び、受け付ける条件と手順を決める
  2. 誰が頼めて、誰が承認し、何日で届くかを書いて合意する
  3. 手順をそろえ、繰り返す作業から自動化する
道具
要求カタログ(request catalogue)/お願いカード(受付条件・手順・承認者・届くまでの日数)/申請のワークフロー
押さえる言葉
  • サービス要求 service request:通常のサービス提供の一部として合意済みの、利用者からの依頼
  • 標準変更 standard change:低リスクで手順の決まった、事前承認済みの変更。本番に触れる依頼は、これとして扱うことが多い
最初の一歩
パスワードの再設定など毎週来る依頼を1つ選び、手順を5行で書く。担当が休んでも別の人が同じ時間で終えられるか試す
使えている目印
  • 多い依頼の上位5つが、担当によらず同じ手順と日数で届いている
  • 依頼から完了までの日数が、カードに書いた日数に収まっている
つまずき
カードにない依頼まで、断れずに受けてしまう。範囲の外は、変更や相談として別の道に回す
まぎらわしい隣
インシデント管理:サービス要求は、あらかじめ決まったいつものお願い。インシデントは計画外の中断。PCが壊れたはインシデント、新しいPCが欲しいは要求

使ってみる

人事から「来月の新人10人のPCとアカウントを」。前回は担当の記憶頼みで、初日に3人分のアカウントがなかった

どうさばくか

新人のPC手配は、いつものお願い。手順と合意を先に決めれば、誰が担当しても同じに届く。記憶頼みでは同じ抜けが起きる。毎回許可を取るのは遅いだけで、本番に触れる手順なら標準変更にできる

No.31 サービスの妥当性確認およびテストService validation and testing新しい、または変更された製品とサービスが、決められた要件を満たすようにする

第1部 第3話で、ベンダーのSEのうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:確かめる場所がないまま、本番でぶっつけになること

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No.31サービスの妥当性確認およびテストService validation and testing

目的:新しい、または変更された製品とサービスが、決められた要件を満たすようにする

「動いた」と「使える」を、先に書き分ける

組織と人材organizations and people
  • 合格の条件を決める:出荷担当と情シス(依頼した側と一緒に)
  • テストを行う:ベンダーのSE。合否をつけるのは出荷担当と情シス
  • 結果を受け取る:変更許可者(情シス課長と工場長)
情報と技術information and technology
  • 合格の条件(受け入れ基準)を書いた1枚
  • テストの記録(何を・どこで・どの量で・結果)
  • 検証用の環境(本番と同じ版と設定。足りない機種は借りてつなぐ)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダーのSE:検証用の環境の用意とテストの実施
  • 取引先の物流センター:見本のラベルを、読み取り機で試す
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 使う人に聞く
  2. 合格の条件を書く
  3. テストを選ぶ
  4. 検証環境で試す
  5. 結果を渡す
使えている目印
  • どの変更にも、先に書いた合格の条件と、確かめた結果が残っている
  • 本番に持ち込んだ不具合の件数を、変更ごとに数えている
図 サービスの妥当性確認およびテストの解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 顧客の要望と事業目標、規制から、合格の基準を先に決める
  2. 機能・性能・セキュリティなど、要件に合うテストを選ぶ
  3. 本番に近い場所で確かめ、結果を変更の許可者に渡す
道具
受け入れ基準(何ができたら合格か)/テスト計画(何を・どこで・誰が確かめるか)/検証用の環境
押さえる言葉
  • 妥当性確認 validation:そもそも求められているものかを確かめること
  • テスト testing:仕様どおりに動くかを確かめること
  • 回帰テスト regression testing:変更で、今まで動いていたものが壊れていないかを確かめるテスト
最初の一歩
次の変更カードに「合格の条件」欄を足し、どこで何を確かめたら本番に移してよいかを、依頼した部署と1行で決める
使えている目印
  • 本番に持ち込んだ不具合の件数を変更ごとに数え、減っている
  • どの変更にも、事前に書いた合格の条件と、確かめた結果が残っている
つまずき
テスト用の環境が契約にないから、と本番でぶっつけにする。確かめる場所の費用は、契約の段階で入れておく
まぎらわしい隣
リリース管理:妥当性確認とテストは、要件を満たすかを確かめる。リリース管理は、確かめたものを使えるようにする

使ってみる

ベンダーのSEに、精算サーバーの設定変更をやり直してもらう。契約にテスト用の環境はない

どう進めるか

本番に入る前に、要件を満たすかを確かめる。同じサーバーのラベル印刷まで試せば、前回の停止は防げた。本番で慎重にやっても確かめたことにはならず、変更をやめると原因が残る

TECH技術管理プラクティス(3)

技術の管理から取り入れたしくみ。ITIL 4の分類です。

No.32 展開管理Deployment management新しい、または変更されたものを、本番やテストの環境へ移す

第1部 第3話で、第二工場の出荷担当のうしろのあとでを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:いちばん止めてはいけない日に、変更が入ってくること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:技術管理›展開管理
No.32展開管理Deployment management

目的:新しい、または変更されたものを、本番やテストの環境へ移す

戻す時間を測ってから、移す日を決める

組織と人材organizations and people
  • 移す作業:ベンダーのSE。立ち会いは情シスの当番
  • 移す日を決める:出荷担当と情シス(出荷の山を外す)
  • 戻す判断:当番が、手順書に書いた条件どおりに決める
情報と技術information and technology
  • 展開の手順書(移す手順・戻す手順と、それぞれの所要時間)
  • 移す前に写しておいた、今の版と設定
  • 変更スケジュール(窓口の共有カレンダー)
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダーのSE:手順書を書き、検証用の環境で一度通す
  • 設備メーカー:新しい機械の接続を、同じ日に重ねない
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 手順を試す
  2. 日を決める
  3. 今の版を写す
  4. 置く
  5. その場で確かめる
  6. だめなら戻す
使えている目印
  • どの展開にも戻す手順があり、戻すのにかかる時間が分かっている
  • 展開が原因の停止が、最初に試したラインの範囲で止まっている
図 展開管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 止まったときの痛さに合わせて、展開の方式を選ぶ
  2. 移す手順と戻す手順を、展開の前に書いて試す
  3. 移す日時を現場と合わせ、変更スケジュールに沿って移す
道具
展開の手順書(移す手順と戻す手順)/管理されたリポジトリ(プル型展開の置き場)/CI/CD のツールチェーン(自動で移すしくみ)
押さえる言葉
  • 段階的展開 phased deployment:本番の一部に先に入れ、順に広げるやり方
  • 一斉展開 big bang deployment:すべての対象に同時に入れるやり方
  • プル型展開 pull deployment:管理された置き場に置き、利用者が自分の都合で取り込むやり方
最初の一歩
次のPC向けの配布を、まず情シス7人に入れ、1週間問題がなければ本社、その後工場と営業所へ、と3段に分けて予定を組む
使えている目印
  • どの展開にも戻す手順があり、戻すのにかかる時間が分かっている
  • 展開が原因の停止が、最初の段階の範囲で止まっている
つまずき
全拠点に一斉に入れて、全社が同時に止まる。工場の出荷日に重なれば、戻す前に損が出る
まぎらわしい隣
リリース管理:展開管理は本番環境へ物を移す。リリース管理は、利用者が使えるようにする。置く日と使える日は分けられる

使ってみる

ラベル印刷のソフトを新しい版に替える。3つの工場が同じソフトを使い、出荷は毎日ある

どう移すか

止まると痛い現場には段階的展開。影響を1ラインに閉じ込め、戻す手順も先に用意する。一斉に入れると不具合で3工場が同時に止まる。各自に任せると版がばらつき、いつ何が入ったか追えない

No.33 インフラストラクチャとプラットフォーム管理Infrastructure and platform management組織が使うインフラとプラットフォームを、外部の提供者の分も含めて監督する

第1部 第4話で、情シス課長のうしろのもやすけを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:外の会社に任せている部分まで含めて、土台の全体が見えないまま決めること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:技術管理›インフラストラクチャとプラットフォーム管理
No.33インフラストラクチャとプラットフォーム管理Infrastructure and platform management

目的:組織が使うインフラとプラットフォームを、外部の提供者の分も含めて監督する

外の会社の土台も、同じ1枚に載せる

組織と人材organizations and people
  • 土台の当番:社内のサーバーとクラウドを、交代で見る
  • 提供者との窓口:情シス(障害・変更・費用ごとに)
  • 利用者への知らせ:窓口から営業所と各部へ
情報と技術information and technology
  • 土台の一覧(社内・クラウド・SaaS。止まったら誰が直すか)
  • 責任の分担表(どこまで自社、どこから提供者)
  • 提供者のステータスページと、知らせの共有の受け口
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • クラウドの提供者:メンテナンスと障害の知らせ
  • 注文アプリのベンダー:アプリの側の切り替え
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 一覧に載せる
  2. 境目を決める
  3. 受け口を決める
  4. 知らせを見る
  5. 利用者に伝える
使えている目印
  • 外部サービスの障害を、利用者より先に提供者の知らせで知っている
  • 土台ごとの費用と責任の境目を、同じ一覧で説明できる
図 インフラストラクチャとプラットフォーム管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 社内のサーバー・クラウド・SaaSを、1つの一覧で見る
  2. 提供者との責任の境目を、障害・変更・費用ごとに決める
  3. 提供者の障害情報や変更の知らせを受け取る道を作る
道具
基盤の一覧(社内・クラウド・SaaS、データの流れつき)/責任の分担表(どこまで自社、どこから提供者)/提供者のステータスページと、知らせの受け口
押さえる言葉
  • クラウドのサービスモデル SaaS / PaaS / IaaS:アプリを使う/自分のアプリを基盤に載せる/計算資源そのものを使う、の3つ
  • ハイブリッド hybrid:社内専用とパブリックなど、配置の形を組み合わせたもの
最初の一歩
社内サーバーとクラウド、SaaSの契約を1枚に並べ、それぞれに「止まったら誰が直すか」「障害の知らせはどこに来るか」を書く
使えている目印
  • 外部サービスの障害を、利用者より先に提供者の知らせで知っている
  • 基盤ごとの費用と責任の境目を、同じ一覧で説明できる
つまずき
外の会社のサービスを「うちの範囲外」として地図に載せない。そこを通るデータが止まって初めて、つながりに気づく
まぎらわしい隣
アーキテクチャ管理:アーキテクチャ管理は全体の設計図を描く。こちらは実際の基盤を運営し、外部の提供者の分まで監督する

使ってみる

営業所のFAX注文は、外のFAXサービスから社内の「旧_予備」サーバーを通って届いていた。誰も知らなかった

同じことを防ぐには

基盤は、社内と外部の提供者を合わせて1つの全体。同じ一覧にデータの流れと知らせの受け口を書けば、止める前に気づける。任せきりでは、つながりが見えないまま。作り直しても、知らない流れはまた生まれる

No.34 ソフトウェア開発と管理Software development and managementアプリケーションが、機能・信頼性・保守性などの面で関係者のニーズを満たすようにする

第1部 第10話で、情シス(動かす側)のうしろのくうらんを落ち着かせたしくみ。
怖がっていたこと:何が作られたのかを知らないまま、公開の日から動かす責任だけを渡されること

ITIL›バリュー・システム›管理プラクティス›ITIL 4:技術管理›ソフトウェア開発と管理
No.34ソフトウェア開発と管理Software development and management

目的:アプリケーションが、機能・信頼性・保守性などの面で関係者のニーズを満たすようにする

完璧に書くより、直せる形で作る

組織と人材organizations and people
  • 作る人:ベンダーの開発チーム
  • 直せる人:開発チームのほかに、情シスに2人(1人は中途のメンバー)
情報と技術information and technology
  • コードの置き場所(会社のリポジトリで版を管理する)
  • 自動のテスト(直すたびに走る)と、「できた」の条件
パートナーとサプライヤーpartners and suppliers
  • ベンダーの開発チーム:コードを会社の置き場所に置き、使い始めた週から問い合わせを一緒に読む
バリューストリームとプロセスvalue streams and processes
  1. 小さく作る
  2. 自動で確かめる
  3. 盤の前で試す
  4. 出す
  5. 問い合わせを読む
  6. 直して出す
使えている目印
  • 作った人が休んでも、別の人が直して出せる
  • 問い合わせのうち、次の直しに入った件数を数えている
図 ソフトウェア開発と管理の解剖図。目的のまわりに、ITILが各プラクティスの手引きで使う4つの側面を置き、この会社の具体を書き込んだ。
このしくみを使う
中心の活動
  1. 要件から設計・開発・テストまでを、小さな単位で回す
  2. コードをリポジトリで版管理し、変更ごとに自動テストを走らせる
  3. 公開後の問い合わせを読み、直したものを定期的に出す
道具
コードリポジトリ(版管理)/自動テスト(単体・結合・回帰)/CI/CD のツールチェーン
押さえる言葉
  • 保守性 maintainability:作った人以外でも、安全に直せる度合い
  • 継続的インテグレーション continuous integration(CI):コードを頻繁にまとめ、自動テストにかけること。構成品目の CI とは別物
  • 継続的デリバリー continuous delivery:いつでも本番に出せる状態を保つこと。出すかどうかは判断して決める
最初の一歩
社内で作ったツールを1つ選び、コードを共有のリポジトリに移す。作った人以外が手順書だけで直して動かせるか、1回試す
使えている目印
  • 作った人が休んでも、別の人がコードを直して出せる
  • 公開後の問い合わせのうち、次の直しに入った件数を数えている
つまずき
「できました、あとはよろしく」で開発が終わる。動かす側は中身を知らず、止まったときに誰も直せない
まぎらわしい隣
展開管理:ソフトウェア開発と管理は、作って守り続ける。展開管理は、作ったものを本番へ移す

使ってみる

注文アプリを公開した週、営業所に問い合わせが40件。開発チームは「契約上は納品済み」と言う

次の契約と体制をどうするか

アプリは作ったあとも直せる状態に保つもの。作る側が利用の声を読み、小さく直して出し続ける。年1回の改修では不満がたまり、完璧な納品を求めても、使ってから分かる困りごとは防げない