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ITIL 4 / Version 5 Foundation · Practices

ITILプラクティス詳解

34のマネジメントプラクティスを、1つずつ「何を防ぐためのものか」から解説します。試験に出る15個には印を付け、似たプラクティスとの見分け方、プラクティス同士のつながり、確認問題までまとめています。

00このページの読み方と34個の地図

プラクティスは「部署の名前」でも「手順書」でもありません。ある種類の仕事をうまくこなすために組織が持っておくべき能力の束です。人・情報と技術・パートナー・仕事の流れという4つの側面すべてを含むので、「インシデント管理」と言ったときは、受付の手順だけでなく、担当者のスキル、使うツール、ベンダーとの取り決めまでが含まれます。

このページでは34個それぞれを、次の6項目で解説します。例はすべてこのページ用に作ったもので、原書の訳ではありません。

項目 何が書いてあるか
一言で そのプラクティスの目的を、短く言い換えたもの
防ぐ失敗 これが弱い組織で何が起きるか。覚えるときの手がかり
中身 主な活動、押さえるべき用語
具体例 社内IT部門を想定したオリジナルの場面
混同注意 似たプラクティスとの見分け方
試験 Foundation試験での扱い(★★=中身まで出題、★=目的が出題、-=出題範囲外)

34個の地図

覚える優先順位は「★★の7個 → ★の8個 → 残り19個」です。残り19個は試験範囲外ですが、★★や★のプラクティスと一緒に働く場面が多いので、名前と役割だけでも知っておくと理解が深まります。

分類 プラクティス 一言で 試験
一般 Architecture management 組織の全体設計図を持つ -
一般 Continual improvement 全員で良くし続ける ★★
一般 Information security management 事業に必要な情報を守る ★
一般 Knowledge management 知識を使える状態に保つ -
一般 Measurement and reporting 測って、判断の不確かさを減らす -
一般 Organizational change management 変化の「人の側面」を扱う -
一般 Portfolio management 何に投資するかの組み合わせを決める -
一般 Project management プロジェクトを成功させる -
一般 Relationship management 利害関係者とのつながりを育てる ★
一般 Risk management リスクを理解し、扱う -
一般 Service financial management お金を有効に使う -
一般 Strategy management 目標と進む方向を決める -
一般 Supplier management 外部に頼る部分を管理する ★
一般 Workforce and talent management 適切な人を適切な役割に置く -
サービス Availability management 必要なときに使える状態を保つ -
サービス Business analysis 事業のニーズを分析し、解決策を示す -
サービス Capacity and performance management 需要に見合う量と速さを保つ -
サービス Change control 変更を成功させる ★★
サービス Incident management 止まったものを早く戻す ★★
サービス IT asset management IT資産の一生を管理する ★
サービス Monitoring and event management 異変に気づく ★
サービス Problem management 原因を断つ ★★
サービス Release management 新しい機能を使えるようにする ★
サービス Service catalogue management 提供中のサービスの一覧を整える -
サービス Service configuration management 構成の正しい情報を持つ ★
サービス Service continuity management 災害時にも事業を続ける -
サービス Service design 使われる製品・サービスを設計する -
サービス Service desk 利用者の窓口 ★★
サービス Service level management 目標を決めて、測って、管理する ★★
サービス Service request management いつものお願いを、さばく ★★
サービス Service validation and testing 要件を満たすか確かめる -
技術 Deployment management 本番環境へ部品を移す ★
技術 Infrastructure and platform management 基盤を見る -
技術 Software development and management アプリを作り、守る -

01一般マネジメントプラクティス(14個)

経営全般で昔から使われてきた考え方を、サービス管理に合わせて取り入れたものです。IT部門に限らず、組織のどこにでもある仕事が並びます。

Continual improvement継続的改善

★★ 中身まで出題ITIL 5: CAI

  • 一言で製品・サービス・プラクティスを少しずつ良くし続け、変わっていく事業のニーズに合わせる。
  • 防ぐ失敗改善が「気づいた人の善意」頼みになり、思いつきの改善が乱立する。どれが効いたのか誰にも分からない。
  • 中身
    • 改善の文化を育てる。改善は全員の仕事で、専任チームを置いても任せきりにしない。リーダーが率先して示す。
    • 改善案は continual improvement register(CIR) に集め、価値と手間で優先順位を付ける。CIRは1つとは限らず、チームごとに持ってもよい。
    • 進め方は第4章の「継続的改善モデル」(7ステップ)を使う。手法はLean、Agileのふりかえり、DevOpsの実験など何でもよい。
    • サプライヤーとの契約にも、改善の義務と測り方を入れておく。
  • 具体例ヘルプデスクのメンバーが「同じ質問が多い」と気づき、CIRに登録。翌月の見直しで優先度が高いと判断され、FAQ整備が改善テーマになる。
  • 混同注意SVSの「構成要素としての継続的改善」、バリューチェーンの「Improve活動」、このプラクティスは別物です。順に「仕組み」「仕事の流れの中の工程」「それを支える能力と道具」と覚えます。
  • 試験「改善は誰の責任か」→全員。「改善案を記録するのは」→CIR。この2つは定番です。

Information security management情報セキュリティ管理

★ 目的が出題ITIL 5: CAI

  • 一言で事業を続けるのに必要な情報を守る。
  • 防ぐ失敗情報漏えいや改ざんで事業が止まる。逆に守りすぎて、誰も仕事ができなくなる。
  • 中身
    • 守る対象は confidentiality(機密性:見てよい人だけが見られる)、integrity(完全性:正しく改ざんされていない)、availability(可用性:必要なときに使える)。加えて authentication(認証:本人であることの確認) と non-repudiation(否認防止:やったことを後から否定させない)。
    • 対策は prevention(予防)、detection(検知)、correction(是正) の組み合わせ。
    • 守ることとイノベーションのバランスが要る。ルールが厳しすぎると、抜け道を探す人が出てかえって危険になる。
    • 一番効くのは、社員一人ひとりの意識と行動。
  • 具体例退職者のアカウントを即日止める(予防)、深夜の大量ダウンロードを検知する(検知)、漏えい時に手順どおり封じ込めて報告する(是正)。
  • 混同注意availabilityという言葉は可用性管理にも出てきます。セキュリティでは「守るべき性質の1つ」、可用性管理では「サービスの約束の水準」です。
  • 試験目的のキーワードは「事業に必要な情報を守る」と「機密性・完全性・可用性」。

Relationship management関係管理

★ 目的が出題ITIL 5: CAI

  • 一言で組織と利害関係者のつながりを、戦略と戦術のレベルで築き、育てる。
  • 防ぐ失敗困ったときだけ連絡する関係になり、相手の優先順位や不満が見えない。気づいたときには信頼を失っている。
  • 中身
    • 利害関係者を特定し、分析し、関係の状態を見守り、改善し続ける。
    • 相手の優先順位と期待を理解し、複数の関係者の期待がぶつかるときは調整する。苦情は誠実かつ正式な手順で扱う。
    • 担い手の例が BRM(ビジネス関係マネージャー)。事業部門の相談相手として、ニーズを聞き、ITの提案につなげる。
  • 具体例情シスの担当者が月に一度、営業部長と30分話す。来期の重点や、システムへの不満を聞いておくと、問い合わせが来る前に手を打てる。
  • 混同注意SLMは「合意したサービスの水準を測って管理する」、関係管理は「その前提になる信頼関係を育てる」。数字の話か、関係の話かで見分けます。
  • 試験「戦略的・戦術的なレベルで」「関係を築き、育てる」がキーワード。

Supplier managementサプライヤー管理

★ 目的が出題ITIL 5: CAI

  • 一言で外部に頼っている部分の質と、提供の切れ目のなさを守る。重要なサプライヤーとは協力関係を深め、新しい価値を生み、失敗のリスクを減らす。
  • 防ぐ失敗ベンダー任せで品質が分からない。契約に穴があり、障害時に誰も動かない。1社に頼りすぎて交渉力を失う。
  • 中身
    • 調達の型:insourcing(内製)、outsourcing(外部委託)、single source / partnership(1社に集中・提携)、multi-sourcing(複数社に分散)。
    • サプライヤーは重要度と影響、リスク、コストで分類し、付き合い方の濃さを変える。
    • 主な活動:サプライヤー計画、評価と選定、契約交渉、分類、契約の管理、保証(warranty)条項の管理、実績の管理、更新または終了。
    • 複数のサプライヤーをまとめる service integration(サービス統合) の役割を、自社か主要サプライヤーが担うこともある。
  • 具体例ヘルプデスクを外部委託するとき、応答時間の目標と月次レビューを契約に書き、毎月の実績を見て改善を求める。
  • 混同注意「パートナーとサプライヤー」は4つの側面の1つ、サプライヤー管理はそれを扱うプラクティスです。側面は「考える観点」、プラクティスは「実際の仕事の能力」。
  • 試験目的の「サプライヤーとその実績を適切に管理し、製品とサービスの切れ目のない提供を支える」をつかんでおけば十分です。

Architecture managementアーキテクチャ管理

- 出題範囲外

  • 一言で組織を作っている要素と、そのつながりの全体像を持ち、複雑な変化を構造的に、かつ機敏に進められるようにする。
  • 防ぐ失敗部署ごとに勝手にシステムを入れ、つながらないシステムとデータが乱立する。
  • 中身対象は、ビジネス、サービス、情報システム(データとアプリ)、技術、そして外部環境を描く環境アーキテクチャ。現在の姿と目指す姿、その間の道筋を示す原則・標準・道具を提供する。
  • 具体例新しいSaaSを入れる前に「既存のID管理とつながるか」「同じデータを二重に持たないか」を確認する。
  • 混同注意ポートフォリオ管理は「何に投資するか」、アーキテクチャ管理は「どう組み立てるか」。

Knowledge managementナレッジ管理

- 出題範囲外

  • 一言で組織の情報と知識を、効果的・効率的・便利に使える状態に保ち、良くしていく。
  • 防ぐ失敗知識が特定の人の頭の中にしかなく、その人が休むと仕事が止まる。文書はあっても古くて誰も信じていない。
  • 中身文書化された知識だけでなく、経験に根ざした暗黙の知識も扱う。「必要な人に、必要なときに、使える形で」届けることが目的で、量を集めることが目的ではない。
  • 具体例障害対応の後に「何が起きて、どう直したか」を5行で残し、検索できる場所に置く。次の担当者が同じ障害を10分で直せるようになる。
  • 混同注意構成管理は「サービスを作る部品の情報」、ナレッジ管理は「仕事のやり方や判断の知識」。

Measurement and reporting測定と報告

- 出題範囲外

  • 一言で適切なデータを集め、文脈の中で正しく評価して、判断の不確かさを減らす。
  • 防ぐ失敗感覚で判断する。逆に、意味のない指標を大量に集めて誰も見ない。
  • 中身
    • CSF(重要成功要因):狙った結果を得るために欠かせない前提条件。KPI(重要業績評価指標):その達成度を測る重要な指標。
    • 指標は人の行動を変える。たとえば「問い合わせの平均対応時間」だけを目標にすると、難しい案件を早く閉じる行動を招く。だから指標は意図しない副作用まで考えて選ぶ。
    • 報告は、受け手が何を判断したいかに合わせて作る。
  • 具体例CSF「利用者が自力で解決できる」、KPI「FAQ経由で解決した割合」。
  • 混同注意SLMも測定をしますが、対象は「顧客と合意したサービスの水準」に限られます。測定と報告は組織のあらゆるものを対象にします。

Organizational change management組織変更管理

- 出題範囲外

  • 一言で変化の「人の側面」を扱い、組織の変更を円滑に成功させ、効果を長続きさせる。
  • 防ぐ失敗新しい仕組みを入れたのに、現場が受け入れず元のやり方に戻る。
  • 中身
    • 成功の条件は4つ:明確で納得できる目的、強く本気のリーダーシップ、意欲があり準備のできた参加者、改善の持続。
    • 主な活動:関係者の分析と巻き込み、コミュニケーション、抵抗への対応、研修、新しい行動の定着。
    • 他のプラクティスと違い、責任を外部に移すことはできない(組織自身の変化だから)。
  • 具体例紙の申請を電子化するとき、「何が楽になるか」を部署ごとに説明し、各部署に推進役を置き、旧方式の受付期限を決める。
  • 混同注意Change control(変更管理)は「本番環境などへの変更の許可とリスク」、組織変更管理は「人と組織の受け入れ」。名前は似ていますが対象が違います。

Portfolio managementポートフォリオ管理

- 出題範囲外

  • 一言で限られたお金と人の中で戦略を実行できるよう、プログラム・プロジェクト・製品・サービスの組み合わせを適切に保つ。
  • 防ぐ失敗声の大きい部署の案件から順に進み、戦略に効くものが後回しになる。
  • 中身製品・サービスのポートフォリオ、プロジェクトのポートフォリオ、顧客のポートフォリオを扱う。重複をなくし、リスクを見て、投資の優先順位を決める。
  • 具体例来年度のIT案件20件を、戦略への貢献、リスク、必要な人員で並べ、上位8件に絞る。
  • 混同注意プロジェクト管理は「決まった案件を成功させる」、ポートフォリオ管理は「どの案件をやるか決める」。

Project managementプロジェクト管理

- 出題範囲外

  • 一言で組織のプロジェクトを成功させる。計画し、任せ、見守り、統制し、関わる人の意欲を保つ。
  • 防ぐ失敗期限も予算も超え、終わってみたら目的とずれている。
  • 中身プロジェクトは成果物を届けるための一時的な体制。要件が明確で安定していればウォーターフォール型、変わりやすければAgile型を選ぶ。今の業務を回しながら、変化を起こす必要がある。
  • 具体例勤怠システムの入れ替えを、半年・5人のプロジェクトとして立ち上げる。
  • 混同注意ポートフォリオ管理との違いは上を参照。

Risk managementリスク管理

- 出題範囲外

  • 一言で組織がリスクを理解し、うまく扱えるようにする。組織が続くためにも、顧客に価値を出すためにも欠かせない。
  • 防ぐ失敗起きてから慌てる。または、リスクを恐れて何も新しいことができない。
  • 中身
    • リスクは特定され、評価され、対応されなければならない。
    • リスクは事業の一部:すべてのリスクを避けるのではなく、組織が取ってよいリスクの大きさ(リスク許容度)の中で取りにいく。挑戦しないこともリスクになる。
  • 具体例新しいAIツールを試すとき、「個人情報を入力しない」というルールで情報漏えいのリスクを下げた上で、試行を許可する。
  • 混同注意継続性管理は「災害という特定の大きなリスク」への備え、リスク管理はあらゆるリスクの扱い方全般。

Service financial managementサービス財務管理

- 出題範囲外

  • 一言で組織のお金と投資が有効に使われるようにし、サービス管理の戦略と計画を支える。
  • 防ぐ失敗どのサービスにいくらかかっているか分からず、やめる判断も増やす判断もできない。
  • 中身budgeting/costing(予算と原価計算:お金の出入りを予測し管理する)、accounting(会計:お金の使われ方を明らかにする)、charging(課金:利用者に請求する。任意だが、どのサービスにも費用の把握は必要)。
  • 具体例社内のPC貸与サービスの1台あたり年間コストを出し、リースと購入のどちらが安いか比べる。
  • 混同注意IT資産管理も費用を扱いますが、対象は「個々の資産の一生」。財務管理は「組織全体のお金の流れ」。

Strategy management戦略管理

- 出題範囲外

  • 一言で組織の目標を決め、そこへ向かう行動と資源の配分を決める。方向、集中、優先順位、環境変化への一貫した対応を与える。
  • 防ぐ失敗部署ごとに別の方向を向き、努力が分散する。
  • 中身外部環境と自社の力を分析し、目指す姿を描き、実行し、見直す。
  • 具体例「3年で問い合わせ対応の半分をセルフサービスに移す」とIT戦略に書き、ポートフォリオ管理で関連案件を優先する。
  • 混同注意ガバナンス(EDM)は「方向が正しいかを監督する」、戦略管理は「その方向を作る」。

Workforce and talent management人材管理

- 出題範囲外

  • 一言で事業目標を支えるために、適切なスキルと知識を持つ人を、適切な役割に置く。
  • 防ぐ失敗必要なスキルを持つ人がいない、いても別の仕事をしている、育てる仕組みがない。
  • 中身要員計画、採用、オンボーディング、学習と育成、業績の測定、メンタリングと後継者計画。organizational velocity(組織が動く速さ・効果・効率)を高めることに直結する。
  • 具体例クラウド移行に備え、運用担当2名に半年かけてクラウドの研修と実務を経験させる。
  • 混同注意組織変更管理は「変化を受け入れてもらう」、人材管理は「必要な力を持つ人をそろえる」。

02サービスマネジメントプラクティス(17個)

ITSMの現場で育ってきたプラクティスです。試験に出る★★7個のうち6個がここに集まっています。運用の「流れ」でつながっているものが多いので、8章の物語とあわせて読むと覚えやすくなります。

Incident managementインシデント管理

★★ 中身まで出題ITIL 5: MSF

  • 一言で止まった・遅くなったサービスを、できるだけ早く元に戻し、悪影響を小さくする。
  • 防ぐ失敗原因探しに夢中になって、利用者を何時間も待たせる。どの障害を先にやるかの基準がなく、声の大きい人から対応する。
  • 中身
    • Incident:サービスの計画外の中断、または品質の低下。完全に止まっていなくても、遅い・一部使えないも含む。
    • すべて記録し、影響の大きさで優先度を付け、合意した時間内に解決する。利用者にこまめに状況を伝えることも大事。
    • 影響の大きいものは major incident(重大インシデント) として別の手順で扱う。情報セキュリティのインシデントも別手順にすることが多い。
    • 解決の担い手は、利用者自身(セルフヘルプ)→ サービスデスク → 専門チームへの エスカレーション → サプライヤー → 一時的な合同チーム、と広がる。極端な場合は災害復旧の計画を発動する。
    • Swarming:最初から複数の専門家が一緒に取り組み、誰が最適か分かった時点で担当を絞るやり方。
    • 記録を構成情報・変更・既知のエラーと結びつけておくと、診断が速くなる。
  • 具体例「会議室のプロジェクターが映らない」。代わりの部屋を案内して会議を続けてもらえば、業務への影響は消える。原因調査はその後。
  • 混同注意
    • 問題管理:インシデントは「起きている中断を戻す」、問題管理は「その原因を取り除く」。
    • サービス要求:インシデントは「計画外」、要求は「あらかじめ決まったいつものお願い」。
    • サービスデスク:デスクは「受け付ける窓口」、インシデント管理は「戻すための進め方」。
  • 試験目的の「通常のサービス運用をできるだけ早く回復し、悪影響を最小化する」と、swarming・優先度・情報セキュリティインシデントの扱いが定番。

Problem management問題管理

★★ 中身まで出題ITIL 5: MSF

  • 一言でインシデントの本当の原因と潜在的な原因を見つけ、回避策と既知のエラーを管理して、インシデントの起きやすさと影響を減らす。
  • 防ぐ失敗毎回再起動で「解決」し、同じ障害が永遠に繰り返される。
  • 中身
    • Problem:1つ以上のインシデントの原因、または原因になりうるもの。
    • Known error:分析は済んだが、まだ解決していない問題。
    • Workaround:完全な解決がまだないとき、影響を減らす(またはなくす)方法。インシデントの起きやすさを下げるものもある。
    • 3つのフェーズ:
      1. Problem identification(問題の特定):傾向分析、繰り返すインシデントの検出、重大インシデント中に再発の恐れを見つける、サプライヤーや開発チームからの情報、など。
      2. Problem control(問題コントロール):分析して、回避策と既知のエラーを記録する。全部を深掘りするのではなく、影響と起きやすさで優先順位を付ける。
      3. Error control(エラーコントロール):既知のエラーを管理し、恒久対策を検討する。恒久対策の実施は変更管理を通す。回避策が今も有効かも見直す。
    • インシデント管理、リスク管理、変更管理、ナレッジ管理、継続的改善と強く結びつく。
  • 具体例毎週月曜の朝に共有フォルダが重くなる。記録を見ると3か月続いていた(特定)。週末のバックアップが月曜朝まで終わっていないと分かり、「月曜は8時半まで大きなファイルを開かない」を回避策として周知(コントロール)。バックアップの時間帯を変える変更を申請(エラーコントロール)。
  • 混同注意回避策を出した時点で「問題は解決」ではありません。原因が残っている限り、問題は開いたままです。
  • 試験3フェーズの順番と中身、known error と workaround の定義、「恒久対策の実施は変更管理経由」が頻出。

Change control変更管理

★★ 中身まで出題ITIL 5: PIC(Change enablement)

  • 一言でリスクをきちんと評価し、変更を許可し、変更の予定を管理することで、成功する変更の数を最大にする。
  • 防ぐ失敗誰かの「ちょっとした設定変更」で全社が止まる。逆に、承認が重すぎて誰も改善できなくなる。
  • 中身
    • Change:サービスに直接・間接に影響しうるものの追加・修正・削除。どこまでを対象にするかは組織が決める(インフラ、アプリ、文書、プロセス、サプライヤーとの関係など)。
    • 許可する人や会議体を change authority という。変更の種類ごとに適切な許可者を決める。許可を現場に近いところへ分散させると速く、うまく回る。
    • 変更の3種類:
      • Standard change(標準変更):低リスクで内容がよく分かっており、手順が文書化されている。事前承認済みなので、毎回の許可は要らない。ただし、手順を作ったり変えたりするときは、ほかの変更と同じようにリスク評価と許可を行う。
      • Normal change(通常の変更):その都度、評価と許可が必要。change model が種類ごとの評価と許可の役割を決める。低リスクなら近くの責任者、高リスクなら経営層まで上がる。自動化されたツールで許可することもある。
      • Emergency change(緊急の変更):できるだけ早く実施する必要がある(障害の解消やセキュリティパッチなど)。評価と許可は省かないが、文書化などを後回しにでき、専用の許可者を置くこともある。
    • Change schedule(変更スケジュール):変更を計画し、周知し、衝突を避け、資源を割り当てる。インシデント管理、問題管理、改善計画からも参照される。
  • 具体例「メールボックス容量を決まった範囲で増やす」は標準変更。「基幹システムのDBのバージョンアップ」は通常の変更。「攻撃されている脆弱性への緊急パッチ」は緊急の変更。
  • 混同注意変更管理は「やってよいかを決める」、展開管理は「物を移す」、リリース管理は「使えるようにする」。組織変更管理(人の受け入れ)とも別物。
  • 試験3種類の見分けが最頻出。「緊急の変更は許可不要」「標準変更は一度もリスク評価しない」は誤り、と覚えておく。ITIL 5のガイドブックでは名前が Change enablement になっている点にも注意。

Service request managementサービス要求管理

★★ 中身まで出題ITIL 5: MSF

  • 一言であらかじめ決まった、利用者からの「いつものお願い」を、効果的で使いやすい形でさばき、サービスの品質を支える。
  • 防ぐ失敗パスワードリセットのような定型作業が毎回手作業で、待ち時間が長く、担当者も疲弊する。
  • 中身
    • Service request:利用者(またはその正式な代理人)からの、通常のサービス提供の一部として合意済みのサービスアクションを始める要求。
    • 種類の例:作業の依頼(パスワードリセット、レポートの作成)、資源の提供(PCやソフトのライセンス)、アクセスの付与、情報の問い合わせ、フィードバック・称賛・苦情。
    • いずれも「通常の運用の一部」であり、障害でも変更でもない。承認なしで済むものも、簡単な承認が要るものもある。
    • ポイント:できるだけ標準化・自動化する。どれくらいで届くかの期待をはっきりさせる。改善の機会を探す。方針とワークフローを文書化し、決められた範囲の依頼だけを受け付ける。
    • 利用者には request catalogue(要求カタログ) で、頼めるものを見せる。
  • 具体例新入社員のPC手配を、ポータルの申請フォーム1枚にまとめ、承認後は自動でアカウント作成まで進むようにする。
  • 混同注意「PCが壊れた」はインシデント、「新しいPCが欲しい」はサービス要求。苦情や称賛もサービス要求に入る点に注意。
  • 試験「標準化と自動化」「苦情・称賛も要求」「障害でも変更でもない」が定番。

Service deskサービスデスク

★★ 中身まで出題ITIL 5: MSF

  • 一言でインシデントの解決とサービス要求の「需要」を受け付ける。すべての利用者にとっての入口であり、単一窓口。
  • 防ぐ失敗利用者が「どこに聞けばいいか分からない」。部署ごとに窓口がばらばらで、情報も記録も散らばる。
  • 中身
    • 対応の結果だけでなく、顧客と利用者の体験全体に大きく影響する。自動化やセルフサービスが進んでも、共感をもった人の対応の価値は残る。
    • チャネル:電話、メール、Webポータル、チャット、ソーシャルメディア、対面窓口(walk-in)など。
    • 形態:1か所に集まる中央集約型だけでなく、分散した拠点を技術でつなぐ virtual service desk もある。
    • 求められる力:共感、状況の分析と優先度の判断、効果的なコミュニケーション、感情的知性。技術知識だけでは足りない。利用者が「本当に困っていること」を理解する力が要になる。
    • 支える道具:通話管理、ワークフロー、ナレッジベース、リモート操作、ダッシュボード、構成情報との連携など。
  • 具体例社員がチャットで「経費精算の画面が真っ白」と連絡。デスクは状況を聞き、同じ連絡が他にも来ていることに気づいて重大インシデントの可能性を判断する。
  • 混同注意デスクは「機能(窓口)」で、インシデント管理やサービス要求管理は「その先の進め方」。デスクは両方の入口になる。
  • 試験目的の「需要を受け付ける」、単一窓口、virtual service desk、技術より共感と理解、が頻出。

Service level managementサービスレベル管理

★★ 中身まで出題ITIL 5: CAI

  • 一言で事業に基づく明確な目標を決め、その目標に対して提供の状況を評価・監視・管理する。
  • 防ぐ失敗「ちゃんと動いているのに不満を言われる」。提供者と顧客で「良いサービス」の定義が違う。
  • 中身
    • Service level:期待される、または達成された品質を表す1つ以上の指標。SLA:提供者と顧客の間で、必要なサービスと期待水準を定めた文書による合意。
    • Watermelon SLA effect:個々の指標は「緑(達成)」なのに、顧客の満足度は「赤」。外は緑で中が赤いスイカにたとえる。原因は、技術的な指標が顧客の成果を表していないこと。
    • だからSLAは、サービス全体の結果と顧客の成果に結びつけて作る。運用の数字を並べただけのSLAにしない。
    • 情報の集め方:
      • Customer engagement:顧客の業務を理解し、話を聞き、成果を測る指標を一緒に決める。
      • Customer feedback:アンケートや、事業上の重要な指標の共有。
      • Operational / business metrics:稼働率や応答時間などの運用指標と、業務の成果を示す指標。
    • 会話の力、関係者の管理、交渉、分析の力が要る。
  • 具体例「月間稼働率99.5%」は達成しているのに、経理部は「月末に止まるなら意味がない」と不満。経理部と話し、「月末3営業日の稼働」を別の目標として加える。
  • 混同注意関係管理は「信頼関係」、SLMは「合意した水準の測定と管理」。可用性管理は「可用性を実現する」側で、SLMは「その目標を顧客と合意する」側。
  • 試験ウォーターメロン、顧客との対話(engagement)、SLAは顧客の成果に結びつける、が頻出。

IT asset managementIT資産管理

★ 目的が出題ITIL 5: PIC

  • 一言でIT資産の一生(調達から廃棄まで)を計画・管理し、価値の最大化、コストの管理、リスクの管理、購入・再利用・引退・廃棄の判断、規制と契約の遵守を支える。
  • 防ぐ失敗PCやライセンスがどこに何台あるか分からない。使っていないライセンスに払い続ける。監査でライセンス違反を指摘される。
  • 中身IT asset=IT製品・サービスの提供に貢献しうる、財務的価値のある構成要素。ハードウェア、ソフトウェア(特にライセンス)、クラウドの利用権などが対象。台帳と棚卸しで正確さを保つ。
  • 具体例退職者のPCを回収して再利用に回し、SaaSのライセンスを翌月から1つ減らす。
  • 混同注意構成管理は「サービスを作る部品とそのつながり」、IT資産管理は「お金の価値と一生」。同じPCでも、見る角度が違う。
  • 試験目的の「ライフサイクル全体を計画・管理する」と、その5つのねらい(価値・コスト・リスク・判断・遵守)。

Monitoring and event managementモニタリングおよびイベント管理

★ 目的が出題ITIL 5: MSF

  • 一言でサービスとその部品を体系的に観察し、意味のある状態変化をイベントとして記録・報告する。イベントに優先順位を付け、障害につながりそうな状態にも対応を決める。
  • 防ぐ失敗利用者からの電話で初めて障害に気づく。逆に、アラートが多すぎて大事なものを見落とす。
  • 中身
    • Event:サービスや構成品目(CI)の管理にとって意味のある状態の変化。たいてい監視ツールなどの通知で分かる。
    • イベントはよく3種類に分けられる:informational(その場の対応は不要だが、記録として役立つ)、warning(悪影響が出る前に手を打てる)、exception(基準違反が起きている。対応が必要)。
    • 何を監視するか、どこからが警告かを先に決める。すべてのイベントがインシデントになるわけではない。
  • 具体例ディスク使用率80%で warning、95%で exception にして、80%の時点で容量を増やす。
  • 混同注意イベントは「変化の知らせ」、インシデントは「実際に起きた中断」。警告の段階で手を打てば、インシデントにならずに済む。
  • 試験目的の「体系的に観察し、イベントを記録・報告する」と、イベントの定義。

Release managementリリース管理

★ 目的が出題ITIL 5: PIC

  • 一言で新しい、または変更されたサービスや機能を、使える状態にする。
  • 防ぐ失敗新機能が突然現れて利用者が混乱する。マニュアルや研修が追いつかない。
  • 中身
    • Release:使えるようにされたサービスやCIのバージョン(またはCIの集まり)。小さな変更から、まったく新しいサービスまで含む。文書、研修、プロセスの更新も一緒にリリースされることがある。
    • リリース計画で中身と日程を決め、後で振り返る。
    • Agile/DevOpsの環境では、本番に置いてから(展開してから)利用者に公開することが多い。段階的に公開する方法として、2つの環境を切り替える blue/green や、機能ごとに公開対象を絞る feature flags がある。
    • DevOpsでは、CI/CDのツールチェーンと一体になることが多い。
  • 具体例新しい申請画面を本番には先週置いておき、今週は経理部だけに公開し、問題がなければ来週全社に公開する。
  • 混同注意展開管理は「本番へ移す」、リリース管理は「使えるようにする」。2つのタイミングは分けられる。
  • 試験目的の「新しい・変更されたサービスや機能を使えるようにする」。展開との違い。

Service configuration managementサービス構成管理

★ 目的が出題ITIL 5: PIC

  • 一言でサービスの構成と、それを支える構成品目(CI)について、正確で信頼できる情報を、必要なときに必要な場所で使えるようにする。CIの設定内容とCI同士の関係も含む。
  • 防ぐ失敗障害のとき「このサーバーを止めたらどのサービスに影響するか」が誰にも分からない。
  • 中身
    • Configuration item(CI):ITサービスの提供のために管理が必要な構成要素。
    • Configuration management system(CMS):構成管理を支える道具・データ・情報の一式。情報は1つの CMDB に置くことも、複数に分けることもある。
    • 情報の収集と更新には手間がかかるので、使い道と価値が分かっている情報だけを集める。
  • 具体例「経費精算サービス」の下に、Webサーバー2台、DB1台、認証サービス、外部の決済API、がつながっていると記録しておく。
  • 混同注意IT資産管理との違いは上を参照。ナレッジ管理は「やり方の知識」、構成管理は「部品とつながりの情報」。
  • 試験目的の「正確で信頼できる構成情報を、必要なときに必要な場所で」。CIの定義。

Availability management可用性管理

- 出題範囲外

  • 一言で顧客と利用者のニーズを満たす、合意した水準の可用性をサービスに保たせる。
  • 防ぐ失敗「止まらないこと」だけを追い、止まったときの戻り方を考えていない。逆に、必要以上に高い可用性に費用をかける。
  • 中身
    • Availability:必要なときに合意した機能を果たせる能力。
    • MTBF(平均故障間隔:どれくらいの頻度で止まるか)と MTRS(平均サービス復旧時間:止まったときどれくらいで戻るか)。最近は「速く戻る」設計(MTRSを短くする)が重視されるが、止まると致命的なサービスでは「止まらない」設計(MTBFを伸ばす)が大事。
    • 稼働率(%)は顧客の実感とずれやすい。利用者が使えなかった時間、失われた事業価値、利用者の満足度、失われた取引数など、顧客に近い指標も使う。
  • 具体例深夜は誰も使わない社内システムは、夜間の停止を許容して費用を抑える。24時間動く受注システムは二重化する。
  • 混同注意継続性管理は「災害」という通常の範囲を超えた事態、可用性管理は「日常の範囲での使える状態」。

Business analysisビジネス分析

- 出題範囲外

  • 一言で事業やその一部を分析し、ニーズを定義し、課題を解決する方法を提案する。変える理由を説明し、目的に沿った解決策を設計・記述できるようにする。
  • 防ぐ失敗「とりあえずシステムを入れたい」で始まり、何を解決したいのか誰も分かっていない。
  • 中身要件の収集と分析。utility requirements(機能要件:何ができるべきか)と warranty requirements(非機能要件:どれくらいの性能・可用性・安全性が要るか)の両方を定義する。
  • 具体例「申請が遅い」という声を分析すると、システムではなく承認者の不在が原因だったと分かる。
  • 混同注意サービスデザインは「解決策を形にする」、ビジネス分析は「何が必要かを明らかにする」。

Capacity and performance managementキャパシティおよびパフォーマンス管理

- 出題範囲外

  • 一言で今と将来の需要を、費用に見合う形で満たし、合意・期待どおりの性能をサービスに出させる。
  • 防ぐ失敗繁忙期にシステムが遅くなる。逆に、使わない容量に払い続ける。
  • 中身性能(一定時間に処理できる量や応答時間)と容量は密接に関わる。需要の予測、容量の計画、性能の監視と調整を行う。
  • 具体例毎年4月の入社手続きで申請が3倍になるので、3月だけクラウドの容量を増やす。
  • 混同注意可用性管理は「使えるかどうか」、キャパシティ管理は「十分な量と速さがあるか」。

Service catalogue managementサービスカタログ管理

- 出題範囲外

  • 一言ですべてのサービスとオファリングについて、一貫した情報の唯一の情報源を作り、必要な人が見られるようにする。
  • 防ぐ失敗社員が「情シスに何を頼めるのか」知らない。部署ごとに違う説明が出回る。
  • 中身
    • カタログに載るのは「今使えるサービス」で、サービスポートフォリオ全体の一部。文書、ポータル、ツールなど形は問わない。
    • 相手に合わせた見せ方:user views(頼めるものと手配の情報)、customer views(サービスレベル、費用、実績)、IT to IT customer views(技術・セキュリティ・プロセスの情報)。
    • 見せ方を分けても、カタログ自体を別々に作るのは避ける。
    • 頼めるものだけをまとめた見せ方が request catalogue。
  • 具体例社員向けポータルには「PC貸与」「アカウント申請」だけを、部長向けには費用と実績も見せる。
  • 混同注意ポートフォリオ管理は「何に投資するか」、カタログ管理は「今提供しているものをどう見せるか」。

Service continuity managementサービス継続性管理

- 出題範囲外

  • 一言で災害が起きても、サービスの可用性と性能を十分な水準に保つ。組織の回復力を高め、関係者の利益、評判、ブランド、価値を生む活動を守る。
  • 防ぐ失敗地震やサイバー攻撃で全システムが止まり、何から戻すか決まっていない。
  • 中身
    • 事業継続管理(BCM)を支える。通常のインシデント管理や重大インシデント管理では手に負えない規模の事態、つまり disaster(災害) のときに発動する。
    • 何を災害とみなすかは、事前に business impact analysis(BIA:業務が止まったときの影響の分析) で決めておく。
    • RTO(目標復旧時間):中断後、事業への深刻な影響が出るまでに許される最大の時間。RPO(目標復旧時点):再開後に業務が動くために、情報をどの時点まで戻せばよいか。
    • 計画は柔軟に作り、定期的にテストする。
  • 具体例受注システムはRTO 4時間・RPO 15分、社内Wikiは RTO 3日・RPO 1日、と重要度で差をつける。
  • 混同注意RTOは「どれだけ早く戻すか(時間)」、RPOは「どこまでのデータを守るか(時点)」。

Service designサービスデザイン

- 出題範囲外

  • 一言でfit for purpose・fit for use で、組織とそのエコシステムが実際に提供できる製品・サービスを設計する。人、パートナー、情報、技術、プラクティス、顧客との接点まで含めて計画する。
  • 防ぐ失敗技術的には動くが、使いにくくて誰も使わない。運用のことを考えずに作り、リリース後に現場が困る。
  • 中身
    • 顧客体験(CX)と利用者体験(UX)を重視する。
    • Design thinking:観察と共感から始め、試作と検証を繰り返す人間中心の方法。多分野のチームで使うと効果が高い。
    • Lean UX:最小限の機能を小さく実装し、成果で成否を測る。
    • 設計を省いたり、一部の関係者だけで済ませたりすると、余計なコストとリスクが生まれる。
  • 具体例新しい申請フローを、実際の申請者5人に紙の試作で試してもらい、迷った箇所を直してから作る。
  • 混同注意ビジネス分析は「何が必要か」、サービスデザインは「それをどう形にするか」。

Service validation and testingサービスの妥当性確認およびテスト

- 出題範囲外

  • 一言で新しい、または変更された製品とサービスが、決められた要件を満たすようにする。
  • 防ぐ失敗本番で初めて不具合が見つかる。機能は動くが、負荷やセキュリティの要件を満たしていない。
  • 中身
    • 顧客の意見、事業目標、規制要件をもとに品質と性能の指標を決め、それが受け入れ基準とテスト要件になる。
    • Validation(妥当性確認):そもそも求められているものか。Testing(テスト):仕様どおりに動くか。
    • テストの種類の例:システムテスト、結合テスト、回帰テスト、性能・容量テスト、セキュリティテスト、コンプライアンステスト、運用テスト、ワランティ要件のテスト、ユーザー受け入れテスト。
  • 具体例新しい勤怠システムを、500人が9時に同時打刻しても動くか試す(性能テスト)。
  • 混同注意テストは「確かめる」、リリースは「使えるようにする」。

03技術マネジメントプラクティス(3個)

技術管理の分野から取り入れ、関心の中心を「技術そのもの」から「ITサービス」に移したものです。

Deployment management展開管理

★ 目的が出題ITIL 5: PIC

  • 一言で新しい、または変更されたハードウェア・ソフトウェア・文書・プロセスなどを、本番環境へ移す。テストやステージングの環境へ移すこともある。
  • 防ぐ失敗手作業の展開で設定漏れが起き、本番だけ動かない。全台一斉に入れて、全社が一度に止まる。
  • 中身展開の方式。
    • Phased deployment(段階的展開):本番の一部にだけ先に入れ、順に広げる。
    • Continuous delivery(継続的デリバリー):必要なときに統合・テスト・展開を繰り返し、頻繁にフィードバックを得る。
    • Big bang deployment(一斉展開):すべての対象に同時に入れる。
    • Pull deployment(プル型展開):管理されたリポジトリに置き、利用者が自分の都合でダウンロードする。
  • 具体例ブラウザの拡張機能を、まず情シス10人に入れ(段階的)、1週間後に全社へ広げる。社内アプリはポータルに置いて各自が入れる(プル型)。
  • 混同注意展開=置く、リリース=使えるようにする、変更管理=やってよいか決める。
  • 試験目的の「本番環境へ移す」と、4つの方式の名前。

Infrastructure and platform managementインフラストラクチャおよびプラットフォーム管理

- 出題範囲外

  • 一言で組織が使うインフラとプラットフォームを監督する。外部のサービス提供者の技術も含めて把握する。
  • 防ぐ失敗クラウド、社内サーバー、SaaSがばらばらに増え、全体の費用も責任範囲も見えない。
  • 中身
    • クラウドのサービスモデル:SaaS(クラウド上のアプリを使う)、PaaS(自分のアプリをクラウドの基盤に載せる)、IaaS(計算資源やストレージそのものを使う)。
    • 配置モデル:private(1組織専用)、public(一般向け)、community(関心を共有する組織群で共有)、hybrid(組み合わせ)。
    • クラウドへ移ると、ほかのプラクティスも変わる。財務(設備投資から利用料へ)、サプライヤー管理(選ぶだけから、統合して管理する方向へ)、キャパシティ(費用とセットで管理)、変更管理(提供者側の変更もあり、責任の境界を引き直す)、インシデント管理(自分で直すより、提供者との連携が中心に)、展開管理など。
  • 具体例社内のファイルサーバーをSaaSのストレージに移し、障害時は提供者のステータスページを確認する手順をインシデント対応に加える。
  • 混同注意アーキテクチャ管理は「全体の設計図」、こちらは「実際の基盤の運営と監督」。

Software development and managementソフトウェア開発および管理

- 出題範囲外

  • 一言でアプリケーションが、機能・信頼性・保守性・法令遵守・監査可能性の面で、社内外の関係者のニーズを満たすようにする。
  • 防ぐ失敗動くが直せないコードが残り、作った人しか触れない。
  • 中身ソリューションのアーキテクチャと設計(UI、CX、サービスデザインなど)、開発、テスト(単体・結合・回帰など)、コードリポジトリの管理、展開用パッケージの作成、バージョン管理。開発手法は組織と製品に合わせて選ぶ。
  • 具体例社内ツールのコードをリポジトリで管理し、変更のたびに自動テストを走らせる。
  • 混同注意展開管理は「作ったものを移す」、こちらは「作って、守り続ける」。

04プラクティス同士のつながり

プラクティスは単独では動きません。実際の仕事では、いくつかのプラクティスがバトンを渡し合います。代表的な3つの流れを見ておくと、「どこで何が出てくるか」がつかめます。

流れ1:障害が起きてから、二度と起きないようにするまで

  1. Monitoring and event management が異変に気づく(warning → exception)。
  2. Service desk が利用者からの連絡を受ける。
  3. Incident management がまず元に戻す(回避策で戻すことも多い)。
  4. Problem management が原因を突き止め、既知のエラーと回避策を記録する。
  5. Change control が恒久対策の変更を評価し、許可する。
  6. Deployment management が修正を本番へ移し、Release management が使える状態にする。
  7. Service configuration management の情報が、3〜6のすべてを速くする。
  8. Continual improvement が振り返り、次の改善をCIRに積む。

流れ2:新しいサービスを作って届けるまで

  1. Relationship management と Business analysis が事業のニーズをつかむ。
  2. Portfolio management と Strategy management がやるかどうかを決める。
  3. Architecture management が全体との整合を見る。
  4. Service design が使われる形に設計し、Project management が進める。
  5. Software development and management と Infrastructure and platform management が作る。必要なら Supplier management で外部から調達する。
  6. Service validation and testing が要件を満たすか確かめ、Change control・Deployment management・Release management で届ける。
  7. Service level management が目標を合意し、Service catalogue management がカタログに載せる。

流れ3:日々のお願いをさばく

  1. 利用者が request catalogue(Service catalogue management)から頼めるものを選ぶ。
  2. Service desk(またはポータル)が受け付ける。
  3. Service request management が標準化・自動化された手順で応える。手順が本番環境に触れる場合は、事前承認済みの標準変更として扱われることが多い。
  4. IT asset management が、配ったPCやライセンスを台帳に反映する。

ITIL 5の3クラスター(ガイドブックの説明)

ITIL 5のガイドブックは、Practice Manager向けに15個を3つにまとめています。上の流れと重ねるとよく分かります。

クラスター 意味 含まれるプラクティス 上の流れでいうと
MSF(Monitor, Support and Fulfil) 運用の安定と利用者への対応 Service desk、Incident、Problem、Service request、Monitoring and event 流れ1の前半と流れ3
PIC(Plan, Implement and Control) 変更と資産の統制 Change enablement、Deployment、Release、Service configuration、IT asset 流れ1の後半と流れ3の資産
CAI(Collaborate, Assure and Improve) 品質と関係の戦略 Relationship、Supplier、Service level、Continual improvement、Information security 流れ2の入口と出口、流れ1の最後

この15個は、ITIL 4 Foundationで★★と★が付いた15個とちょうど同じです。

05理解度チェック

このページ用に作った問題です。答えを選んでから開いてください。

Q1. どのプラクティスか

社員から「来月入社する人のPCとアカウントを用意してほしい」と依頼が来た。中心になるプラクティスはどれか。

  • A. Incident management
  • B. Service request management
  • C. Change control
  • D. Problem management
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正解:B。あらかじめ決まった、通常業務としての依頼なのでサービス要求です。何も壊れていないのでインシデントではありません。アカウント作成が本番環境に触れても、通常は事前承認済みの標準変更として扱われ、依頼そのものはサービス要求管理が受け持ちます。(→Service request management)

Q2. 問題管理のフェーズ

障害の原因が「古いドライバー」だと分かったが、全台の更新はすぐにはできない。そこで原因と「当面は再起動で回避」という手順を記録した。これはどのフェーズか。

  • A. Problem identification
  • B. Problem control
  • C. Error control
  • D. Incident management
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正解:B。分析して、回避策と既知のエラーを記録するのが問題コントロールです。恒久対策(全台の更新)を検討し、変更管理につなぐのがエラーコントロールです。(→Problem management)

Q3. 変更の種類

業務時間中に、外部から攻撃されている脆弱性が見つかった。今日中にパッチを当てたい。正しい扱いはどれか。

  • A. 緊急なので、評価も許可もせずに当てる
  • B. 緊急の変更として、評価と許可を行い、文書化の一部は後回しにする
  • C. 通常の変更として、来週の定例会議で承認を得る
  • D. 標準変更として、手順書どおりに当てる
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正解:B。緊急の変更でも評価と許可は省きません。急ぐために、文書化などを後回しにできるだけです。(→Change control)

Q4. 展開とリリース

新しい機能をすでに本番環境に置いたが、利用者にはまだ見えないようにしてある。来週、営業部だけに使えるようにする。来週の作業にあたるのはどれか。

  • A. Deployment management
  • B. Release management
  • C. Service validation and testing
  • D. Change control
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正解:B。本番に置くのが展開、利用者が使えるようにするのがリリースです。feature flags などで、2つのタイミングを分けられます。(→Release management)

Q5. 監視とイベント

ディスク使用率が80%になり、通知が出た。まだ利用者への影響はない。このイベントの種類はどれか。

  • A. Informational
  • B. Warning
  • C. Exception
  • D. Incident
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正解:B。悪影響が出る前に手を打てる段階なので warning です。基準違反が起きていれば exception、実際にサービスが中断していればインシデントです。(→Monitoring and event management)

Q6. SLM

SLAの目標はすべて達成しているのに、利用部門の満足度が低い。最初にすべきことはどれか。

  • A. SLAの目標をさらに厳しくする
  • B. 利用部門と話し、彼らが得たい成果と、それを測る指標を見直す
  • C. 満足度調査をやめる
  • D. 達成の報告を増やす
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正解:B。ウォーターメロン効果です。指標が顧客の成果を表していないのが原因なので、顧客と対話して指標を作り直します。(→Service level management)

Q7. 資産と構成

「このライセンスは来年いくら払うか、余っていないか」を管理するのはどれか。

  • A. Service configuration management
  • B. IT asset management
  • C. Service catalogue management
  • D. Knowledge management
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正解:B。お金の価値と一生(購入、再利用、廃棄、契約の遵守)を見るのがIT資産管理です。サービスを作る部品とそのつながりを見るのが構成管理です。(→IT asset management)

Q8. 継続的改善

改善のアイデアを記録し、優先順位を付けて管理するために使うものはどれか。

  • A. Change schedule
  • B. Continual improvement register
  • C. Service catalogue
  • D. Known error database
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正解:B。CIRです。改善は全員の責任で、CIRは組織に1つとは限りません。(→Continual improvement)

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