目次

その依頼は、
誰のチャットに届いたか

「それ、何に基づいてやったの?」と聞かれて、誰も答えられなかった。チームの仕事の「入口」の話です。

票番号04-002
報告者(記録なし)
件名依頼の行き先と、作業の根拠が分からない
状態調査中
前回の名前、思い出せますか?(開くと答え)

動いている精算システム=output。締めが期限までに終わること=outcome。価値は受け取る側の知覚で決まり(value)、提供する側と受け取る側が一緒に作る(value co-creation)。決める人が顧客(customer)、使う人がユーザー(user)、お金を承認する人がスポンサー(sponsor)。

FIRST誰もさぼっていないのに、記録がない

記録が残らないのは、だらしないからではありません。
記録しないほうが得をする仕組みに、なっているからです。

記録しないと、誰が何を得するのか。

SCENE「それ、何に基づいてやったの?」

リーダーになって2週目のことです。隣の席のメンバーが、共有フォルダに権限を付けているのが目に入りました。

「それ、誰の依頼?」

「北関東の営業所の課長です。チャットで来ました」

「その権限、付けていいって、誰が決めたの?」

マウスの上で、メンバーの手が止まりました。少し考えてから、こう答えた。「……前もやってたので」

リーダー自身、去年までまったく同じ答え方をしていたはずです。答えられないのは、答えがどこにも書かれていないからです。

試しに、そのメンバーのチャットを見せてもらいました。

メンバーあての個別チャットとメール(ある1日の分)
営
北関東営業所の課長共有フォルダ「得意先別_見積」、うちの新人にも見えるようにしてもらえますか
チャット
人
人事の担当者来月入社の2名分、PCとアカウントをお願いします(詳細は別途)
メール
工
第二工場の事務ラベルのプリンターがまた紙詰まりの表示です。見てもらえますか
チャット
経
経理の担当者精算システムに入れなくなりました。パスワードを戻してほしいです
チャット
総
総務の担当者先週お願いした件、どうなりましたか?
メール
図1 どれも「この人に頼めば早い」と知っている人から、個人あてに届く。最後の一通の「先週お願いした件」が何なのかは、本人にしか分からない。

COUNT「月に何件くらい?」に、誰も答えられない

同じ週、情シス課長から頼まれごとがありました。「来年度の人員の相談をしたいから、うちに来る問い合わせが月に何件くらいか、出しておいて」

さっそく、チームの全員に聞いて回りました。

情シス課長の見立て100
インフラ担当の見立て200
ヘルプデスク担当の見立て300
ほかの4人?
ひと月あたりの件数(各自の体感)
図2 答えは100から300まで、3倍の幅があった。ほかの4人は「数えたことがない」。

答えは、100件から300件。3倍も違います。しかも、根拠を出せる人は一人もいません。チャットとメールは7人の受信箱にばらばらに散っていて、対応の記録もつけていない。何が、何件来ているのかを知る方法が、そもそもなかったんです。

読み解き

件数が分からないと、何が困るのか。まず、人を増やしてほしいと言えない。「忙しいんです」は、数字がなければ感想として扱われます。何から直せばいいかも決められない。いちばん多い困りごとが何なのか分からないので、目立った一件に振り回される。

見落とされやすいのは、その先です。チームの頑張りが、外から見えない。どれだけ片付けても、数が残らなければ、会社にとっては「何も起きなかった月」と同じです。

記録がなくて、いちばん損をしているのは、毎日チャットを片付けている本人たちです。

GEMBA1週間、数えてみる

リーダーは、7人に一つだけ頼みました。「1週間、届いた依頼を全部、チームの共有チャンネルに転記してください。どこから、何の用件で、どうやって届いたか。それだけでいいです」

ヘルプデスク担当が、少し硬い顔で聞きました。「それって、さぼってないか見るためですか」

「誰が休んでも、頼んだ人を待たせないためです。数は、誰の評価にも使いません」

記録の話をすると、まず「監視される」と受け取られます。目的を先に言葉にしておかないと、転記はすぐに止まる。

1週目に転記されたのは61件でした。少なすぎる気がして、リーダーは2つめのお願いをします。「同じ週の自分のチャットとメールをさかのぼって、転記し忘れたものを拾ってください」。拾い直すと、94件になりました。

拾い漏れがいちばん多かったのは、ヘルプデスク担当です。ほかの6人のぶんまで電話に出ていては、転記まで手が回りません。いちばん忙しい人の仕事ほど、記録に残らない。だから94件は、「少なくとも94件」と読むのが正しい数字です。

この94件を並べて、初めて絵が描けました。

いま

経理営業工場A工場B人事総務情シス7人

こうしたい

経理営業工場A工場B人事総務入口番号・記録・仕分け担当
図3 左:各部署が、知っている「個人」に直接頼んでいる。誰が何件抱えているかは、誰にも見えない。右:チームの入口を1つにして、番号を付け、記録してから担当へ振り分ける。

届き方と用件で分けると、こうでした。

届き方

個人あてのチャット52
個人あてのメール27
電話9
席まで来て口頭で6
チームの共通窓口0

用件

「動かない」「遅い」31
パスワード・ロック解除24
PCや機器が欲しい14
使い方が分からない13
権限を付けてほしい8
苦情・お礼4
何かが壊れている いつものお願い 質問
図4 共通窓口に届いた依頼は0件。チームに窓口がなかったから当然だが、数字で見ると重い。用件の3分の2は、壊れてはいない「いつものお願い」と質問だった。1週間で少なくとも94件なら、ひと月では400件ほど。全員の見立てより多かった。

課長も、インフラ担当も、ヘルプデスク担当も、全員が少なく見積もっていました。一人ひとりに見えているのは、自分あての分だけだからです。7つの受信箱に分かれた仕事の合計は、誰の目にも入っていなかった。

読み解き

リーダーはまだ、何ひとつ改善していません。仕組みを入れる前に、いま実際に何が起きているかを現場で見て数えただけです。

思い込みや又聞きに頼らず、現場を直接見て測る。ITILはこれを、仕事を進めるときの原則のひとつとして現状からはじめる(start where you are)と呼んでいます。「全部作り直す」でも「何も変えない」でもなく、いまあるものを見て、使えるものは使う。最初の一歩は、たいていこれです。

SORT「壊れた」と「お願い」を分ける

数えてみると、届いたものは大きく2つの箱に分かれました。

何かが壊れた・遅くなった

incident
  • 精算システムに入れない(ログインできない障害の場合)
  • 工場のラベルが印刷できない
  • 見積システムが開かない

→ 一刻も早く元に戻すのが目的

壊れてはいない、いつものお願い

service request
  • パスワードを戻してほしい
  • 新入社員のPCを用意してほしい
  • 共有フォルダの権限がほしい
  • 「対応ありがとう」「遅すぎる」

→ 決まった手順で、待たせずに応える

図5 苦情やお礼も右の箱に入る。何も壊れていない、いつも受け付けるものだから。

左の箱、計画外にサービスが止まったり、品質が落ちたりしたものを、ITILではインシデント(incident)と呼びます。完全に止まっていなくても、「遅い」「一部だけ使えない」も含みます。

右の箱がサービス要求(service request)です。ここで、ITILの定義をちゃんと読んでみます。

サービス要求
service request

利用者からの、あらかじめ合意された通常の依頼。壊れているわけではない。パスワードのリセット、機器の手配、権限の付与、情報の問い合わせ、苦情やお礼など。

では、このチームに届いた50件の「いつものお願い」は、あらかじめ合意されていたか。

TWISTこのチームに、サービス要求は1件もなかった

94件のうち50件は、見た目は「いつものお願い」でした。でも定義に照らすと、このチームにサービス要求は1件もなかったことになります。誰が頼んでいいのか、何を確かめてから応えるのか、どこまでやったら終わりなのか。何ひとつ合意されていなかったからです。

合意がないから、毎回その場の判断になる。その場の判断は、記録されない。だから「何に基づいてやったの?」に答えられない。冒頭のメンバーの「……前もやってたので」は、この構造が、そのまま口から出てきた言葉です。

逆に言えば、やることは決まります。いつものお願いを、本当の意味のサービス要求にする。そのために、合意を作る。手始めに選んだのは、件数の多い5つです。

いつものお願い:共有フォルダの権限

頼める人
その部署の課長以上
必要な情報
フォルダ名、付ける相手、期限(ないなら「なし」)
確かめること
フォルダの持ち主が了承しているか
受け付ける場所
チームの共通窓口(個人あてに来たら、窓口に転記する)
終わりの条件
権限を付けて、依頼の番号に「誰の了承で付けたか」を一行残す
図6 最初に作った5枚のうちの1枚。このカードがあれば、「何に基づいてやったの?」に「この取り決めに基づいて」と答えられる。
補足|ITIL 4の用語こうした「頼めるお願いの一覧」は、ITIL 4では service catalogue(サービスカタログ)の一部として、request catalogue と呼ばれていました。また、依頼を受ける共通の入口は service desk(サービスデスク)というプラクティスで説明されています。ITIL 5のFoundation試験では、個々のプラクティスの中身は問われないので、物語の中の「カード」と「入口」として覚えておけば十分です。

FLOW2つの箱は、2つの仕事になる

箱を分けてみると、入口の後ろで動いている仕事も、2種類だったことが分かります。

壊れたとき

壊れた・遅いincident
→
直して
通常に戻す何も新しく作らない
→
Supportサポート

お願いのとき

いつものお願いservice request
→
決まった手順で
応えるアクセス、機器、権限
→
Supportサポート(依頼への対応)
→
使える状態を
保ち続けるDeliver(提供)
図7 どちらの箱も、受けて応えるのはサポート。目的が違う。前者は通常の状態に「戻す」、後者は合意したお願いに「応える」。応えたあと、使える状態を毎日保つのが提供。
サポートと提供
Support / Deliver

どちらも、製品とサービスの一生を8つに分けた活動(ライフサイクル活動)の一部。Supportは、問題・インシデント・問い合わせ・依頼に対応して通常の状態に戻すこと。何かを作ったり展開したりはしない。Deliverは、動いているサービスとその価値を、利用者が使える状態に保ち続けること。

「見積システムが開かない」を直すのも、「新入社員にPCとアカウントを」に応えるのも、入口の仕事はSupport。届けたアカウントで毎日ちゃんと仕事ができる状態が、Deliverの成果。

ORDER順番を決めていたのは、誰のチャットか

入口を作る前の週に、こんなことがありました。ヘルプデスク担当に、ほぼ同時に2通のチャットが届いた。

社長からPCの壁紙が真っ黒になってる。気持ち悪いから直して
第二工場の事務から出荷ラベルが印刷できません。トラック3台が積み込みを待っています

ヘルプデスク担当は、社長の壁紙を先に直しました。5分で終わった。その間も、工場の出荷口では、トラックがエンジンをかけたまま待っていた。出発が遅れ、納品の時間に間に合わない便が出ました。

あとで事情を聞いた社長は、こう言ったそうです。「なんで工場を先にやらなかったの」

読み解き

社長も、工場を先にしてほしかった。なのに壁紙が先になったのは、ヘルプデスク担当の判断が悪かったからではありません。個人あてのチャットには、誰から来たかしか書いていないからです。何が止まっていて、何人が待っているかは、開いてみないと分からない。並べて比べる場所もない。だから順番は、送り主の肩書きで決まってしまう。

入口を1つにして並べると、初めて「業務への影響の大きさ」と「急ぎ具合」で比べられるようになります。

急ぐ
急がない
影響が大きい
最優先
工場のラベル
次に
影響が小さい
次に
後で
社長の壁紙
図8 順番は、業務への影響と急ぎ具合で決める。決め方を先に決めておけば、担当者は肩書きに迷わない。

BEHIND速い入口の裏で、4体の子が待たされていた

うしろを見る

個人あてのチャットは、頼む側にも受ける側にも速いやり方でした。ただ、その速さの裏で待たされていた子が、4体います。

子は人ではなく、席につく。言葉がきつくなるのは、うしろの子が何かを怖がっているとき。6体の紹介は地図に

本社
総務の担当者

「先週お願いした件、どうなってます? 担当の方、お休みだったみたいで」

はつみみ初見

怖いのは頼んだ件が、知らないところで止まっていること

本社
人事の担当

「来月の新人のPCとアカウント、誰に何を伝えればいいんでしたっけ」

もやすけ未翻訳

怖いのは何を、誰に、どう頼めば通るのか分からないまま、新人の初日が来ること

情シス
隣の席のメンバー

「……前もやってたので」

くうらん懸念

怖いのは「何に基づいて」と聞かれたとき、自分の判断しか答えがないこと

工場
第二工場の事務

「出荷ラベルが印刷できません。トラック3台が積み込みを待っています」

ぽつん面子

怖いのは誰から来たかで順番が決まって、工場の件が後回しにされること

せきのこ ── 席のうしろの、小さな子たち

SHIFT正解が、入れ替わる

数えた1週間が終わったとき、ヘルプデスク担当がぽつりと言いました。「転記してる間に、もう1件片付けられるんですけどね」

計算としては、そのとおりです。評価はずっと、どれだけ片付けたかと、「あの人に頼めば早い」という評判で決まってきた。頼られれば、うれしくもある。この条件なら、記録に時間を使うのは損です。記録しない人のほうが速く見えて、評判も上がる。

この回で入れ替わった正解
正解
今まで頼まれた人が、頼まれたその場で、速く片付ける
→
これからチームの入口で受け、仕分けて、番号を付けてから片付ける
数
今まで何が何件来ているか、誰も知らない。忙しさは体感で語る
→
これから入口で番号を付けるので、わざわざ数えなくても数が残る
完了
今まで処理したら終わり
→
これから処理して、何に基づいてやったかを一行残したら終わり
価値観
今まで頼られる人が、できる人
→
これから自分がいなくても回る状態を作る人が、できる人
ITILの言葉
今まで合意のない「いつものお願い」を、その場の判断で処理する
→
これから合意したサービス要求(service request)として、決めた手順で応える

メンバーの仕事で変わること

  • 個人あてに頼まれたら、その場で片付けず、まず入口に転記して番号をもらう
  • カードがあるお願いは、カードどおりにやる。カードにないことは自分で決めず、入口に戻す
  • 終わったら、何に基づいてやったかを一行残す

その代わりに手に入るもの

  • 休んでも、頼んだ人を待たせない
  • 同じ質問に、何度も答えなくていい
  • 「何に基づいて」と聞かれて、困らない
  • 自分の判断が、記録として成果に残る
  • チームの忙しさを、体感でなく数字で説明できる

数えるためだけの作業は、足していません。記録は、仕事の通り道に置いておくものです。入口で番号を付ければ、数はそこを通った跡として、勝手に残ります。

リーダーは、評価のほうも変えると約束しました。片付けた件数に加えて、カードを作ったことも、記録を残したことも、仕事として数える。記録しないほうが得をする仕組みのままで「記録してください」と頼んでも、続かないからです。

AFTER1か月後

共通窓口ができ、全社に案内が出ました。課長には「少なくとも月400件。うち3分の2は、壊れてはいないお願いと質問」と、根拠つきで報告できました。ただ、個人あてのチャットは、ゼロにはなりません。いまも毎週何件か届く。そのたびにメンバーは「窓口に転記しておきますね」と返して、番号を付けています。

いちばん効いたのは、パスワードの件でした。週に24件、ヘルプデスク担当が一件ずつ手で戻していたものを、社員が自分で画面から戻せるようにしたのです。翌月、パスワードのチャットはほとんど来なくなりました。

これまで

社員がチャットする → 担当者が本人を確かめる → 担当者が戻す

service action 担当者が毎回作業する

いま

社員が画面を開く → 自分で本人確認する → 自分で戻す

access to resources 社員が仕組みを自分で使う

図9 同じ「パスワードを戻す」でも、担当者が作業する形から、利用者が自分で使う形に変わった。
サービス・アクションとリソースへのアクセス
service actions / access to resources

サービスとして差し出すもの(オファリング)は、グッズの移転(所有権が渡る物)、リソースへのアクセス(提供者の資源を決めた条件で使える)、サービス・アクション(提供者が利用者のために作業する)の3つでできている。デジタルの提供者は、自動化やセルフサービスでサービス・アクションを減らし、アクセスに置き換えていく傾向がある。

パスワードを戻す作業は、担当者の作業(サービス・アクション)から、社員が自分で使う画面(リソースへのアクセス)に変わった。新入社員に配るPCは、所有権が会社に残るならアクセス、本人に渡すならグッズ。

番号の付いた記録が1か月分たまったころ、ヘルプデスク担当が画面を見ながら言いました。「あの、これ……先月も来てました。その前の月も」

残った問い 記録に入っていたのは、「月末に精算システムが遅い」というインシデントでした。聞いてみると、毎月まったく同じ形で届いている。そして毎回、インフラ担当が再起動して直していた。インフラ担当は「再起動の名人」と呼ばれています。
では、その名人が休んだ月は、どうなるのでしょうか。

この回で付いた名前

インシデントincident計画外のサービスの中断、または品質の低下。遅いのも含む
サービス要求service requestあらかじめ合意された、通常の依頼。苦情やお礼も含む。インシデントではない。合意がなければ、まだサービス要求になれていない
サポートsupportライフサイクル活動の1つ。インシデントや問題に対応し、通常に戻す。何も作らず、何も展開しない。出来は復旧の速さで測る
提供deliverライフサイクル活動の1つ。利用者がサービスを使い続けられるように届ける
オファリングの3要素transfer of goods / access to resources / service actions所有権が移る=グッズ、移らず使える=アクセス、提供者が作業する=サービス・アクション。セルフサービスはサービス・アクションを減らす
現状からはじめるstart where you are従うべき原則の1つ。作り直す前に、いまあるものを現場で直接見て測り、使えるものは使う

もっと詳しく:ITIL 5 解説ガイド(サービス・オファリング/8つの活動/従うべき原則)

RELIEF番号が付くと、子は待てるようになる

しくみを置く

共通窓口ができて1か月。個人あてのチャットはゼロにはなっていません。それでも、4体の子が怖がっていたものには、それぞれ答えが置かれました。

総務の担当者のうしろのはつみみ

怖がっていたこと頼んだ件が、知らないところで止まっていること

No.28|ITIL 4の分類:サービス管理
サービスデスク
Service desk
目的
インシデントとサービス要求を受け付ける。すべての利用者にとっての単一の窓口
この話では
7人の個人チャットに散っていた依頼の入口を、共通窓口ひとつにまとめた
ほっとしたのは
窓口に出せば番号が付く。担当が休んでも、どこまで進んだかが見える
人事の担当のうしろのもやすけ

怖がっていたこと何を、誰に、どう頼めば通るのか分からないまま、新人の初日が来ること

No.24|ITIL 4の分類:サービス管理
サービス・カタログ管理
Service catalogue management
目的
サービスとオファリングについての、一貫した唯一の情報源を作り、必要な人が見られるようにする
この話では
件数の多い5つのお願いをカードにして、窓口の案内と一緒に全社に出した。何を頼めるかの、ひとつだけの情報源
ほっとしたのは
頼めることの一覧。カードに「頼むときに要る情報」まで書いてある
隣の席のメンバーのうしろのくうらん

怖がっていたこと「何に基づいて」と聞かれたとき、自分の判断しか答えがないこと

No.30|ITIL 4の分類:サービス管理
サービス要求管理
Service request management
目的
あらかじめ決まった「いつものお願い」を、効果的で使いやすい形でさばく
この話では
いつものお願いに合意を作り、決まった手順で、待たせずに応えるようにした
ほっとしたのは
誰が頼めて、誰が決めるかが先に書いてあるカード。カードどおりにやれば、答えはカードにある
第二工場の事務のうしろのぽつん

怖がっていたこと誰から来たかで順番が決まって、工場の件が後回しにされること

No.19|ITIL 4の分類:サービス管理
インシデント管理
Incident management
目的
止まった・遅くなったサービスを、できるだけ早く元に戻し、悪影響を小さくする
この話では
壊れた側の箱は、影響の大きさと急ぎ具合で順番を決め、まず通常の状態に戻す
ほっとしたのは
業務への影響と急ぎ具合で並べる、という決め方。肩書きでは並ばない

4つとも、ITILがプラクティスと呼ぶしくみです。人・手順・道具・情報・外の会社をまとめたもので、担当が休んでも席に残ります。入口のしくみが4つも要るのは、入口に並ぶ子が4種類いたからです。

番号と分類はITIL 4の並べ方です。ITIL 5の試験で押さえるのは「プラクティス=資源のまとまり」と2つのグループまで。

せきのこ ── 席のうしろの、小さな子たち

CHECK確かめる

Q1. リーダーは仕組みを入れる前に、7人に1週間、届いた依頼をすべて共有チャンネルに転記してもらい、少なくとも94件という数をつかんだ。この進め方にもっとも近い「従うべき原則」はどれか。

  1. A価値に着目する focus on value
  2. B現状からはじめる start where you are
  3. C全体的に考えて取り組む think and work holistically
  4. D最適化し、自動化する optimize and automate
答えを開く

B。100件から300件までばらついた見立てに頼らず、現場で直接見て測ったので「現状からはじめる」です。従うべき原則は7つあり、ITIL バリュー・システムの5つの構成要素の1つです。Dは、手順を整えてから、価値のあるところを自動化するという原則です。

Q2. 第二工場から「出荷ラベルが印刷できない。トラック3台が積み込みを待っている」と連絡が来た。これを直して通常の状態に戻す仕事は、8つのライフサイクル活動のどれにあたるか。

  1. A運用 operate
  2. B提供 deliver
  3. Cサポート support
  4. D移行 transition
答えを開く

C。ラベルが印刷できないのは計画外の中断なので、インシデント(incident)です。それを通常の状態に戻すのがサポートで、成功はどれだけ早く戻したかで測ります。運用は「動かし続ける」、提供は「利用者に届け続ける」、移行は「本番へ安全に移す」活動です。ITIL 4のバリューチェーン(6つの活動)では「提供とサポート(deliver and support)」が1つの活動でしたが、ITIL 5の8つの活動では、運用・提供・サポートに分かれています。